番外編その1 第2話 <家> 神様の心を折る

 <家のステータス>

 名前:ハーシル湖畔の別荘 [改名可能]

   HP: 10,031,200

   MP: 6,784,000

   物理攻撃力: 743,500

   魔法攻撃力: 500,250

   物理防御力: 1,034,400

   魔法防御力: 774,720

   速度: 5,000

   知性: 8,740

   魅力: 800

   運勢: 500

   加護 星の加護

   スキル

     格闘技Lv4、火魔法Lv4、水魔法Lv4、

     風魔法Lv4、地魔法Lv4、雷魔法Lv4、

     木魔法Lv4、光魔法Lv4、闇魔法Lv4、

     空間魔法Lv4、星魔法Lv6(加護の効果)、

     支援魔法Lv4、回復魔法Lv4、計算Lv7、

     思考速度upLv4、念話Lv4、鑑定Lv4、

     分割Lv4


 見せられても全くわからないステータスとやらを眺めて混乱している私に神が話しかけてくる。


『いや、おかしいから!』


 そうなのか?

 

『なんで家なのに速度の数値高いの?』


 そこか?

 なんか動こうと思ったら動ける気がするけど、めんどくさいから動きたくない。


『……。今日何回意味わからないって言えばいいんだろうか……』


 大混乱だな。あっはっは。


『誰のせいだよ』


 断じて私のせいではない。


『あっ、はい。ごめんなさい。きっとラーハーグ様のせいです』


 ふむ。で?ステータスの説明はしてくれるんだろう?


『はい、します……』


 神様の説明によると……。

 一般人のステータスは、HPとMPは 100、他は30くらいが平均らしい。

 ちなみに、運勢と魅力だけは1,000が上限で、他は上限なし。


 あとは、これまでの人間の最大値はHPとMPが1千万前後、攻撃力や防御力は1百万前後、知性と速度は3万前後らしい。

 神だとその数百倍から千倍くらいらしい。私のステータスは人類の最大値に近いものがあったりする……。


 あと聞いたのは、スキルLvも、魔法の多さもおかしいらしい。

 冗談だったはずの格闘技だっておかしい。

 スキルレベル4というのは人間でいうベテランレベルだという。

 ベテランクラスの格闘技を披露する家……どうやって?

 

 さらに言うと普通の人間は属性魔法を1~3個覚えているくらいとのこと。

 私はたくさん持ってる。

 エアコンも水道もお風呂も照明も全部自分で再現できそうだな……。

 なんなら新しい部屋も作れそうだ。

 そのためにこういう設定になったのだろうか?


 最後に、こうやって目の前の神様と喋れるのは念話というスキルのおかげ。


『いったいラーハーグ様はこの家に何をさせたくてこんなステータスにしたのか……』


 神はステータスを弄れるのだろうか?


『加護を与えて特定のステータスを引き上げることはできるが、ただ弄ることはできない……』


 支離滅裂だな。


『うるさいよ。仕方ないだろう?過去最強クラスの人間と魔法と格闘で戦えそうな家とか意味わからんわ!』


 私もそう思う。

 あれかな?

 魔王とかが住むのかな?


『魔王は自分の城に住んでる』


 そりゃそうだ。

 というか魔王がいるのか。

 それなら勇者とかは……、ここまでの流れだとまさか私か。


『ないから。家が勇者とかないから』


 わからんだろう。

 そんなもの設定次第……。


『ないから。そもそもこの世界の魔王は魔族の王というだけであって、討伐の対象とかじゃないから』


 なんだつまらない。


『つまらないとか言うな!』


 せっかく可愛い魔王をいじめ倒して××しようかと……。


『家が何するっていうんだよ。あぁん?』


 ……拘束とか……。


『謝れ!全世界の……とかじゃなくて読者様に謝れ!』


 もうなんかメタ的で意味わからんぞ。

 こんな主人公でごめんなさい。

 どう考えても大人な展開はありえないのでごめんなさい。


 これでいいのか?


『なんでそういうところだけ真面目……』


 お前が謝れって言ったんだろうが!


『しゅん……』


 で?この世界で私は何をすればいいんだ?


『落ち込む時間すら貰えない……』


 ん?


『ごめんなさい。わからないです』


 あぁ?


『だってわかんないよ。人間かと思ったから説明しに来たのに、来たのが家とか意味わからんだろ?』


 もしここにいるのが人間だったらなんて言うつもりだったんだ?

 

『そりゃあ……』


 よし、テイク2だ。

 目の前にいるのがカッコいい人間だったと仮定して進めてくれ。


『メチャクチャだけど、それしかないか……。よし、それじゃあテイク2だ』


 うむ。


『よく来た、家よ』


 そこから?


『もう黙って。いいから進めさせてよ』


 わかった。


『よく来た、家よ』


 はい、神様。


『ブフォ』


 笑うなよ。進まないだろ?合わせてやってるのに。


『ごめんごめん。よく来た、家よ』


 うむ。


『お前には召喚者である古代神ラーハーグ様の加護が授けられている』


 おぉ。


『その力を持って、この世界で生きるがいい』


 はい。


『この世界は剣と魔法の世界だ。その世界で力ある君はきっと楽しい人生を歩むことができるだろう』


 ほう。


『もちろんそれはキミ次第だ。この世界を生き、様々な出会いをし、経験をし、選択をしてほしい』


 なるほど。


『そして君が思うままに、考えるままに力を振るい、楽しく過ごしてくれ』


 そんなのでいいのか?


『もちろんだ。キミが力を振るうことがこの世界のためになることはわかっている』


 いよいしょ!


『……』


 すまん。テンポよく気持ちよさそうにしゃべってるから、つい合いの手を入れたくなって。


『どういうことだよ!』


 あっはっはっは。


『あっはっはっはじゃないよ。真面目に話してるのに』


 すまん、続けてくれ。


『コホン。キミが力を振るうことがこの世界のためになることはわかっている』


 なぜだ?


『この世界に召喚されたというのはそういうことだ。よい影響を与えてくれるものをラーハーグ様は呼んでいるのだから』


 そのラーハーグ様とは会話できないのか?


『それはできない。ラーハーグ様に明確な意識はないんだから。ただ、そういうことになっている』


 そういう神様という事か。


『そうだ……。キミ、なんか来た時より賢くなったというか、なんか知識が増えていないか?』


 それはそう思う。

 神のことすらよくわからなかったと思うのだが、今ではわかるぞ。


『なんだろうね?そういった知識の注入もあったのかな?』


 どうだろうか。

 なんか思い出したというか、深いとこにあったものが浮き上がってきたような感じだが。


『キミは前の世界でも建物の癖に何かを記憶していたのか?』


 いや、わからない。


『まぁいい。理由はわからなくても今は結果としてキミがここに召喚されて存在していることは変わらない。移動もできるのであれば、このまま送り出す予定の場所に送り出そう。そこからどう過ごすかはキミ次第だ』


 ひどい。

 私を放り出すのね!?


『誰だよ!キミは私の女なのか?』


 ちょっと言ってみたくなってしまって。


『キミには念話があるから現地の生物たちとも喋れるだろうし、そう考えればキミが家だろうが生物だろうが関係なかったね。いわゆる大型の魔道具だと思えば何の問題もない』


 どうでもよくなってないか?

 しかも魔道具ってなんだよ。


『魔道具は魔道具さ。魔法の力を使える道具で……』


 わかったわかった。

 また長くなるから次の機会にしてもらって。


『……ということで私の最後の役割だ。キミをこの世界に送り込むよ』


 スルーすんな。


『では、陳腐なセリフになってしまうが、よい人生……じゃないな、よい時間を過ごしてくれ』


 目の前の神様がそう言うと、あたりが光リ輝いた。


 全くもって何もかもが理解不能だが、私はこの世界とやらに放り込まれるらしい。

 いきなり空中とかに出されて墜落して壊滅とかやめてほしい。

 それだけはお願いしたい。


『……もちろんだよ……』


 なら問題ない。


 別世界とやらを覗いてやろう。

 ……景色の良い場所にっていうリクエストを忘れてたことを後悔……いや、気に入らなかったら自分で移動すればいいのか。






△△△△家のつぶやき△△△△

ここまでお読みいただきありがとう

突然神とやらに異世界に転移させられて放り出された私を応援してくれるキミ!

1個だけでいいから★評価を!

頼んだぞ!!!

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