第6話 あたしはメリ三。よろしくな。
あたしはメリ
本当はメリーさん、だけど、
え、
あれば、あたしが自我を得たばかりの、最高に、最悪に、不安定だった頃のことさ――
「あたし、メリーさん。今、あなたの後ろに居るの」
耳元で聞こえて、ゾワッ、としたぜ。お前らと違って
ま、それはどうでもいいんだ。
「チョココロネ、食べる?」
「じゃあ、生まれたばかりなのね」
あたしの身の上話を、
「また
「ああ、こちらこそ……『また』?」
「ええ、あなたで二人目。いいえ、三人目かしら」
自分自身のことを数えたらしい、ってのは流れでわかった。
「だから、あなたはメリ
「あんたと、その、もうひとりは?」
「あたしはメリ一。メリ二ちゃんは、メリ二ちゃんよ」
「つまりあたしはメリ三ってことか……そこで数えるのかよ」
「メリ二ちゃんも同じことを言ってたわ! あたし達、仲良くなれそうね」
「そんな満面の笑みで言われてもなぁ……あたしとしては願ったり叶ったりというか、そうして貰えるならありがたい限りだが」
当然だ。喰われるか仲良くするかなら後者を選ぶ。
――選びたい。
――選んで、もらいたい。
「うふふ、
「ああ、はい、メリ一さん。よろしくな」
こうして九死に一生を得たというか、怪異としてやっていく足掛かりを得たというか……結果的に、
今思えば、寂しかった、のかもしれねぇなぁ。わからねぇけど。当時のあたしにはそんなことを考える余裕は無かった。
とは言え、憑き方を……というか、その体験を教わって、『
兎にも角にも、
「またね、メリ三ちゃん」
「ああ、
別れはあっさりとしたもんだった。
ただ、『どこにでも居て、どこにも居ない、
――と、こんなところだ。昔話なんて
そんじゃ、改めて本題。つっても大したことじゃねぇんだが。
あたしはメリ三。よろしくな。
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