第5話 あたし、メリ二ちゃん。今、やさぐれてるの。
あたし、メリ二ちゃん。
本当は、メリーさん、よ。でも、メリ二ちゃん、ってことで覚えておいてもらいたいわ。
それで少しは、力が増すでしょうから。
長い時間が、過ぎた。
本当に、長い、長い、時間が。
最初から一緒だったお魚さんも、とっくに居なくなった。
売られていった、ってことよね。ここでずっと過ごしてるんだもの、
あたし
何年、とか、あたしにはわからない。ただ、お魚さん達が
ううん、数えることに疲れちゃった、って言った方がいいかな。別に、どっちでもいいけどね。いずれにせよ、あたしには、何も出来ない。
ある日、
でも、本当に、不思議なことで。――半ズボンの男の子が、あたしのことを指差したの。
これまで誰も、あたしに視線を送ることすら無かったのに。いえ、
だから、実質、初めてのことで……
それからは、てんてこ
あたしは長らく
それも
新居は、環境としてはどうなのかしらね。――どこにでも居て、どこにも居ない。
でも、そんなことより、机の横に窓があって、
あれが海、かしらね。旧居とも比べ物にならないくらい、大きくて、広い、水が見えた。
あたし、メリ二ちゃん。今、自由からは程遠いのに、喜んじゃってる自分が、怖いわ。
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