第4話 国王陛下との対面
−−−薄暗い荒野に1人男が佇む。彼の目の前には無数の墓石のような物が無造作に並んでいる。
なぜ、こんな事になってしまったのだろうか。いや、これこそがこの世界の天命に抗った罰なのかもしれない。
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「え!?俺を召喚したのって王様だったの?」
「そうだよ。国王陛下のスキルは『召喚者』これで君を召喚したんだよ。」
(へぇ…。なんてご都合の良いスキルなんだ
「そーなんすね…。てか、国王のスキルなんてそんなやべえ話簡単にしていいのかよ?」
「ああ。国王陛下のスキルについては代々バラガント王国の王家の血筋が授かるスキルでね。他国にも既に広まっているものなんだ。」
(他国も知ってんのか。ん?代々って王女様のスキルは確か−−−)
「あれ?王女様は『千里眼』を使うんだよな?」
「その通り。国王陛下の子達が皆スキルを受け継ぐ訳ではない。メシエッタ様は『千里眼』と言うスキルを授かったが、『召喚者』はこの国の第1王位継承権を持つサガ王子が受け継がれた。」
「王は『召喚者』ってスキルを持ってなきゃいけないんじゃねえのか?なら継承権とか関係なしに−−−」
勇希がそこまで言いかけた時、アルバンスは隠し持っていた短刀を勇希の首に当てがった。
「王たる器を持っていらっしゃるのはメシエッタ様だ。だから僕は彼女についた。街を救って頂いた英雄と言えど、それ以外は王女への侮辱と見做し処刑しなければならない。」
ツーっと勇希の首に汗が流れた。
下手なことを言えば本当に殺されるだろう。
そう思わされるくらいアルバンスの目は真っ直ぐだ。
「す、すみません!」
勇希が謝罪の言葉を発するとアルバンスはニコッと笑って短剣を懐にしまった。
「脅してすまない。けれど僕にとってのメシエッタ様はこの国よりも重いものなんだ。理解してほしい。」
(や、やっべぇ!死ぬかと思った…。てかさっきのこいつの動き−−−)
「あ、あんた怪人の戦った時本気出してなかっただろ…。」
「僕は君が英雄として使える存在なのか見極めなければいけないからね。」
(こんにゃろ…。)
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「アルバンス…。よく英雄を連れて参ったな。」
「いえ、国王陛下。国の為ですから。」
「さて。英雄殿。私が26代目バラガント王国国王グンテル・ガンダハール。お主の名もお聞かせ願おう。」
グンテルは堅そうな見た目に反して丁寧な言葉遣いで自己紹介をした。
「あ、俺は山田勇希っす。多分貴方に召喚された英雄ってやつなのかな。」
「ふむ。お主の活躍は既に耳に入ってきておるぞ。なんでも、もう英雄として街を怪人から救ったとな。」
「いやぁ…。たまたまっすよ…。あはは。」
「いいや。お主の勇気ある行動、この国の長として感謝する。ありがとう。」
グンテルはそういうと、立ち上がり勇希に向かって頭を下げた。
「父上!いけません!このような王族でもなければ貴族でもない人間に陛下ともあろうお方が頭を下げるなんて…。」
グンテルの行動を横から見ていたサガが口を挟んだ。
「英雄…。それがなんだと言うんだ。私はお前なんぞ認めはしない。『召喚者』は他人に頼るための力ではないと言うことを私が示してやろう。」
(何言ってんだこいつ…。)
「あ、あのー。俺なんかしましたかね?」
「黙れ!貴様如き、軽々しくこの城内で口を開いて良い身分だとでも思っているのか?だとすればそれは間違いだ!」
サガの突き出した右手の先に魔法陣のようなものが現れ、勇希の体の3倍はあるであろう岩がそこから勇希目掛けて飛んできた。
岩は勇希に直撃し凄まじい衝撃音の後に砕け散った。その光景を見ていたアルバンスはつい勇希に向かって叫ぶ。
「勇希殿!」
「ふん。アルバンス…貴様。無礼者の心配をしているのか?」
「てめえ!いきなり何しやがんだ!」
「既に変身を…。良かった。」
「しぶとい奴め。それが変身とやらか。まるで怪人の様な見た目だな。」
確かに全身を覆う黒色の装甲は見る人間によってはどこか怪人を彷彿させるものであった。
「皆鎮まれ!」
「ちっ!」
「…!」
グンテルが口を開くとその場の全員がグンテルに従い行動を止めた。
制されたサガは自分の従者を連れその場を離れていった。
「あの野郎…!なんだってんだ。」
「息子がすまない。あれも根は良い子なんだが。」
「良い子!?あれが?」
「サガはある日を境に変わってしまった。
昔は民を思いやる純粋な良い子だったんだがな。
そんなサガをメシエッタも支えると言っていたんだが…。先の様に今のサガは自分の力を過信し、身分を重んじる考えになってしまった。私は今のサガを王として後継者にすることは出来ないと考え娘のメシエッタにも王位継承権を与える事にしたのだよ。」
「けどそれって。」
「ああ。自分と比べられる存在があることでサガは余計に拗れていったよ。」
「何があいつをそこまでしたんすか…?」
「ふむ…。では英雄であるお主に、この国の過去…サガの過去と『召喚者』と言うスキルについて語るとしよう。」
俺はまだこの世界の仕組みについて全く理解出来ていなかった。
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