コーヒー店にて 2

「で、頼んだのが?」

「サンドイッチです」


 二人の前にやってきたのは、サンドイッチが二つ。


 あやは表情にこそ出さないが、頭の中で夏美なつみの頭を撫でまくる。


「いいんじゃない? 分けれるし」

「やった、褒められた」


 笑顔になる夏美である。


 コンビニに売っているものよりもサイズが大きく、中に具が詰まっているサンドイッチを、二人は手を合わせて早速食べる。


 自分の分をあげる、ということはできないが二人で分け合うのも悪くない、というか嬉しい。


 サンドイッチの美味しさが何倍にも跳ね上がる。


「美味しいですね」


 夏美の笑顔が眩しい。彩は目を逸らしながら、素っ気なく答える。


「まあね」


 それから、特に会話は無く食べ終えた二人。


 ロクに会話をしないまま解散になってしまうのかと、彩は寂しくなったのだが、夏美が話しかけてくれた。


「なんの本買ったんですか?」

「これ」


 小さな袋から一冊の文庫本を出す。


「あんた本読まないでしょ?」


 そもそも夏美は読書をしないのだが、なぜ彩の買った本に興味を持ったのか。


「なんとなくですかね」

「なにそれ。……貸したげようか?」

「いやあ、大丈夫です」

「あっそ」


 そう言って彩は本を袋に戻すのだった。

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