とある休日編
休日にて
ある休日、
こじんまりとした店内には雑誌類が多く、毎週棚の様子が変わっていて面白い。
しかし彩は雑誌コーナーを見るだけで、目的は少し奥にある小説が売っているコーナーだ。
好きな作者の最新の小説、それを楽しみにここしばらくは過ごしていた。
新刊棚で目当ての小説を探す。大型ではないため、話題の小説以外は一冊しか置いていないがなんとか見つけることができた。
彩は満足げな息を漏らしてレジへと向かう。
会計を済まして、早く家に帰って本を読もうと、駐輪場へと向かう。
しかし、ここで嬉しくも困ったことが起きた。
「あれ⁉ 先輩じゃないですか!」
まさかの
「うわっ……なんでいんの?」
「なんですかそのリアクション! 休みの日に私に会えるなんてラッキーなんじゃないんですか? 私は嬉しいのになあ!」
「いや、ごめん」
夏美会えたことは、表にこそ出さないが彩だって嬉しい。だけど今は早く帰って本を読みたいのだ。しかしその理由で夏美を放って帰るなんてできない。
「先輩これから暇ですか?」
エコバックを提げているあたり、夏美もお使いかなにかで家に帰る前だろうが、これからどこかに寄りませんか、とでも言いたげだった。
「いや……本読みたいし、夏美もお使いかなんかでしょ? 早く帰った方がいいんじゃない?」
生ものがあれば油を売っている場合ではない。
残念だが提案してきた夏美にそんな暇があるとは思えない。
「ああ、これですか? 大丈夫ですよ、常温保存大丈夫な物しかありませんから」
夏美がエコバックの中を見せてくる。確かにすぐに帰らなくても問題ない物ばかりだ。
「……分かった」
本は後で読もう、それよりも夏美のことを優先したい。
ため息と共に本を読みたい気持ちを吐き出す。
「決定ですね! じゃあどこか店に入りましょう!」
大人しく夏美についていくことにする彩であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます