第7話 鬼火が来りて炎を吹く
……………
三本以外の面々は突然の爆発に驚くばかりで動き出せずにいる。が、そのなかで靖穂はすぐに冷静さを取り戻し、指示を飛ばす。
「皆、離れて、見えている三本先輩は観測に回って、もし攻撃できるのなら、兄貴と
――全員のステータス
高速で思考を巡らせつつ、ステータスを参照し、靖穂は更なる支持を飛ばす。
「金田先輩、兄貴と
返事よりも先に三本は彼にのみ見える火に対して拳を振りつつ、叫ぶ。
「ステータス
三本の拳が火の玉をしっかりととらえ、殴る感触を得、5のダメージ表示が為されると同時に、彼の目の中に敵のステータスが表示される。
鬼火 HP45/50
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・
『自爆』を使用する。
――知力点、感知点、技能点が高い……昨日、
「守備特化! ……典型的な自爆キャラだなっ! 攻撃は当たるぞっ!」
三本は伝達する。稲葉さんはすぐに駆け付け、蹴りを入れ、直ぐに離脱。16のダメージ。
「感触アリ! ここだよ、重吾!」
彼女が蹴った場所と同じ場所に、間髪入れず、重吾が拳を叩き込み、床に向けて叩き付ける。10のダメージ。
――硬い……! 10ダメージだと!? ……修君で削り切れるのか?
疑念を持ちつつ、重吾は叫ぶ。
「オラッ! 修君!」
突然のことにも関わらず、靖穂の指示もあってか、金田はためらいなく重吾の方向へとタックルを敢行。重吾が離脱するとともに金田の巨躯がその見えざる存在を弾き飛ばす。
爆発寸前のその火の玉は28のダメージを受け、消滅する。
――南の蹴り、軽めとは言えアレに16ダメージ止まりだったのに、なんて火力だ! おれらよりレベル一個下のはずだろ!?
重吾が、刹那、そう思いつつ、全員の脳裏にレベルアップの文字が映る。
そして、靖穂の指示通り、他の面々とは距離を取っていた國山先生と靖穂は叫ぶ。
『見えたっ!』
靖穂の読み通り、次のレベルアップで二人は『鬼火』の視認が可能になる。
靖穂が指示を入れる。
「
國山先生は稲葉さんに叫ぶ。
「稲葉さん、1時の方角から真っ直ぐ『鬼火』が来てる。爆発するわ、10時方向に避けて!」
稲葉さんは指示通り軽やかに動き、爆風に巻き込まれることなく避ける。
國山先生は、後ろから近づく鬼火に裏拳を入れ4のダメージを入れる。
「稲葉さん! こっちに!」
稲葉さんの方に危険な鬼火がない事を感知する先生は、自分に近い鬼火の処理を優先する。彼女は更に二発、往復ビンタの要領で殴り、直ぐに後ろに下がる。合計8ダメージ。
そこへ入れ替わるようにすぐ、稲葉さんが先生の横を抜け、高い位置に浮かぶ鬼火に飛び掛かり、踵落としを入れ21のダメージを与え、更にサマーソルトキックを入れ、バク転の要領で先生の隣に戻る。17のダメージだ。
鬼火は消滅する。
「金田先輩、正面に思いっきり走ってタックルを、壁際までお願いします!」
「あああ!」
金田はぶつかる鬼火を意に介さず、疾走、疾駆、爆走。直線上6体の鬼火に28、27、30、29、32、27のダメージを与える。
「最後にぶつけた鬼火に追撃、後ろに三歩6時の方向に居ます!」
「おうよ!」
だが、その豪快な攻撃へ指示を飛ばす中、彼女の冷静な思考は盤面に不安を覚える。
――この盤面……今、乱しているけれど……明らかに包囲陣を狭め爆散するつもり……! 列を作られてはマズい!
感知に長けるものに映る、鬼火は自爆前に眩い光を放つ。それ以外の平静状態ではその火の光はきわめてわずかなものである。
火の光は一つ、金田の拳によって破壊され、また一つ、三本と重吾の連携攻撃により破壊される。残された六つの鬼火はその輝きを放つことなく、何らかの意思を以て、移動を始める。その速度は、今までのものではなかった。
靖穂が叫ぶ。
「兄貴っ! 金田先輩、12時方向に走ってタックルを、20歩のところまで……」
重吾は既に六方向を円状に囲まれている。
どこへ逃げようとも一定間隔に位置する鬼火に爆破される。
金田は指示を聞きつつ即座に動き、指定された20歩を走り抜ける。二体の鬼火を吹き飛ばし30、32のダメージを与え、それぞれを消し飛ばす。
だが、鬼火は既に重吾に迫り、光り輝いている。
「兄貴っ!」
靖穂の叫びがとどろく。
『ドガァアアアアアアン!』
(続く)
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