第13話 最強の彼女、の提案

「ご、ごちそうさまでした……」


なんとか黒い液体を吐かずに飲み干した俺と、顔をしかめながらぐるぐると自分の器の中の液体をかき混ぜるレビア。

ちなみに彼女は一口しかその料理とも言えない得体のしれない液体を口にしていない。


その様子を見て、ちょっと安心する。別に味音痴ってわけじゃなさそうだ。


「こんなもの、よく食べれたわね」


安心したのもつかの間。いや、自分から料理買って出ておいて、そーれはちょっと。


「食わせといてこんなものとはひどい言い草だな」


ぷいっと横を向いた彼女だったが、数秒経った後に顔を戻して申し訳なさそうな声で言ってくる。


「ごめんなさい。そもそも料理は得意じゃないんだけど、何かお礼がしたくて……でも魔法以外で人にできることってこれくらいしか思いつかなくて。張り切ったら今日はいつも以上に失敗しちゃって……」


うん、良し。

許そうではないか、本人も気持ちあっての行動だし。

何より可愛いし、うへへ。

抱きしめたくなる気持ちをぐっと抑えて俺はにこっと笑う。


「大丈夫、美味しかったよ。それにその気持ち嬉しい」


「……あんた味音痴なの」


間髪入れずにそう言われていくら目の前の可愛い生物からの言葉とは言えカチンとくる。


「建前として感謝してる人間にひどい言いようだな。腹壊したらどうすんだよ」


「あら大丈夫よ、ちゃんと浄化魔法かけてるから」


スプーンを完全に投げ出しながら、言うレビア。

って、浄化魔法?


「ねえ、浄化しなかったらこれ毒だったの? ねえ、毒だったの?」


気まずそうに無言を貫くレビア。


「レビア様、一つ目の家具が出来ましたよ!」


「本当! 見せて」


救いの言葉とばかりにクミの言葉に飛びつくレビア。

そうして、俺のツッコミは華麗にスルーされ、レビアはクミの方へ行ってしまう。

かつて毒だった液体を飲んだ俺は、自分のお腹をゆっくりとさする。

だ、ダイジョブだよな。

うん、だって浄化されてるって言ってたし!

自分を無理やり納得させて二人の方に向かうことにした。


既にレビアは痛みの鈍化の聖魔法を用いてクミと家具を切り離していた。

クミの方も俺がやるときに比べて痛くなさそうな様子。ほう、これは素晴らしい。

何しろ、叫び声を聞かなくて済むのが実に耳に心地よい。

感心してみていた俺だったが、レビアが何やら思案していることに途中で気付く。

家具の出来以外のことに心を砕いているなんて、何を考えているのだろうか。

おっと、ここは、気遣える男を見せて行っちゃいますかぁ?


「レビア。何か気になってることがあるなら、相談のるぜ」


by イケメン風。


俺の流し目は華麗にスルー。

レビアは少しの間悩んだ後に、意を決した様子で話を切り出してきた。


「ねえ……私もここに住んじゃダメかな?」

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