逆輸入反面教師

 イカれ錬金術師お手性の強壮薬は貴重な素材と法に触れる毒が使われているため値が張った。穴が空くのではないかと思うほどに足元を見ているクソのようなボッタクリ価格である。


 だが効果の程は覿面だ。恐ろしくなるほどに有用なので使いどころを誤らなければ確実に元を取れる。そして俺は使いどころを誤らなかった。売上金を詰め込んでパンパンに膨れ上がった革袋がその証左である。


 ペーペー御一行が仕上げた漫画の売れ行きは甚だ好調だ。やはりエンデは素晴らしい。ほんの少し焚き付けるだけで素人の落書きもどきが飛ぶように売れるんだからな。商売し甲斐があるってもんよ。


 今は一日に売り出す漫画の枚数を五枚に増やしている。お値段は五枚セットでガキどもが売り出している漫画の二倍ぽっちだ。どちらがお得かなんてのは一目瞭然である。

 民衆のカネは無限じゃない。日々の娯楽に費やせる額は決まっている。予算内で少しでも楽しめるモノを求めようと思った時、よりお得な方に飛びつくのは必然であった。取捨選択ってやつだな。要は俺たちの作品は選ばれ、ガキどもの作品は捨てられたのである。


 ガキどもが再起を図るには一日の発行部数を増やすしかない。だがそれは不可能だ。ツナの【転写イミテート】は新聞と漫画で既に手一杯なので増刷は見込めない。

 このまま行けば確実に廃業だろう。ガキどもよ、それが挫折だ。今のうちに土の味を知っておくといい。


 漫画事業の乗っ取りには成功した。申し分ない量の利益も上がっている。しかし全てが順調というわけにはいかなかった。

 今現在、俺の目の前にちょっとした問題が転がっている。


「ボス! ボォス!! 原稿描き終わりやしたァー!」

「仕事をっ! 次の仕事を下さぁい! ボスぅ!!」

「働ける喜びに感謝を! ボスに感謝をッ!! ウォォォっ!!」


 どうしようね、これ。俺は目をギラつかせて仕事に従事するペーペー御一行を見てため息を吐いた。


 完全に頭がパァになっちゃったよ。用法用量は守ったはずなんだがな……。事あるごとに弱音を吐くこいつらを強めに叱り飛ばした反発なのかもしれん。

 なにか文句を垂れるたびに俺のもとで働ける喜びみたいなものを説いてたらいつの間にかこうなってしまった。ボスってなんだよ。


 アーチェに報告したら『興味深いですね、新薬の参考にしましょう』とか言い出しやがった。あいつはもうダメだ。人の道を外れすぎている。クズめ。それでこそだ。


 身体に影響はないし、薬を絶って二日三日寝かせれば元通りになるとのことだが……元通りになったら即離反されそうなんだよな。このまま行くべきか……うーむ。


「ボス! ボスっ! シルバーの物語はもう手詰まりですっ! 最強の竜を倒してしまったのでもう物語の続きが描けませんっ!」

「ですが安心してくださいボス! 既に新作の案は練り上げておりますよぉぉっ!」

「ボス、聞いてくださいよ! 自分昨日も一時間しか寝ませんでしたよッ! 褒めてくださいよボスぅ!!」

「働ける喜びィィ!! カネを貰えるついでに学べる喜びッ! やり甲斐のある仕事に就ける喜びッッ!」


 …………。

六感透徹センスクリア】発動。首筋に燃えた枝を近付けられたような感覚が走る。

 よし決めた。この事業からは手を引こう。ガキに挫折を経験させるという目標は達成したことだし、今回はもういいだろう。シルバーの冒険録の最終回を売り切った後、手遅れになる前にトンズラさせてもらうとしようか。


「聞けお前ら! 漫画事業はもうやめだ! どうしても新作を連載したいならお前らだけで勝手にやれっ!」


「何故ですかボスぅ!?」


「お前らもう怪我は治ってるだろ! さっさと冒険者に戻れ! これは命令だッ!」


「ボス……おぉ、ボス……ご無体な……」


「これほどやり甲斐に満ちた仕事は無いと仰ったのはボスじゃないですか!」


 そんなこと言ったか……? いや言ったわ。勢いに任せて色々と吹き込んだ気がする。チッ、面倒だ。効きすぎる薬ってのも厄介だな。


「いいからお前らとりあえず三日は何も描かずに休めよ。正気に戻れ」


「三日も無駄に費やす!? 価値ある時間を蔑ろにする蛮行……! 許されざる愚挙……!」


「ボス! 冒険者に戻ったら、私は一体誰に寝てない自慢をすればいいんですかぁ!」


「知らん知らん! いいから寝てろッ! 俺は買い出しに行ってくる」


 俺は適当な理由をつけて目を血走らせたペーペー御一行から逃げようとした。しかし一人の女が腰に縋り付いてくる。あんだよ。


「ボスぅ……知恵をお貸しください……シルバーの冒険録の最終回を書き上げたのですが、五枚セットにするにはどうしてもあと二話足りないのです……もうアイデアが湧きません……」


 そんなの知らんわ。

 俺は既にコイツらが描いた漫画を読んでない、どころか原稿に目を通してすらいない。出せば売れるしな。下手なことが書けない新聞と違って内容を精査する必要がなかったのだ。

 必然、最終回のアイデアなんて湧くはずもない。どうするか。……王都の適当な劇を参考にするかね。


「ネタがないなら適当なやつを見繕って結婚させとけ。子どもが生まれてハッピーエンドでいいだろ。安いお涙頂戴を混ぜときゃ『いい話だったなー』っつって周りが勝手に納得を済ませてくれる」


「では、あと一話は……」


「知らんっての。お前らの努力や裏話でも適当に綴っとけ」


「イエスボス!!」


 ギンと目を開いた六人がザッと席に座ってあーでもないこーでもないと案を交わし合う。後は勝手にやってくれ。俺は気分転換に上等な飯屋で肉でも食ってくるからよ。


 ▷


 二日後。『石級冒険者シルバーの冒険録』の最終回が無事に販売された。朝も早よから行列が出来ているので高い売上が期待できる。事業の締めとしては申し分ない結末と言えるだろう。


 何もしないでボケっとしてるのは我慢ならないと駄々をこねるペーペー御一行に漫画の販売を任せ、俺はガキどもの新聞社に顔を出すことにした。完結記念にちょっとしたご挨拶をしなきゃな。同業のよしみってやつね。


「やぁやぁエンデ新聞社の皆々様。商売の方は順調ですかな〜? 私どもは少々順調すぎて困ってるくらいですよ〜。ははっ!」


 事務所に招かれると同時、俺はガキどもに気さくな商売トークを展開した。同業との会話といえばこれだよな。互いに儲かって儲かって仕方ないっすよねぇ〜という景気のいい話し合いだ。

 しかしガキどもの顔色はあまり優れないご様子。おやおやおや。これはこれはどうなされたのかな?


「……おかげさまで売上は右肩下がりだよ、オッサン」


「ちょっとフォル……ニッチさん、発行部数の暴力やめてくださいよ。新聞の売上まで落ちちゃったじゃないですかー」


 ツナとアンジュが目を細めて俺のことを睨みつけてくる。はて、そんな顔を向けられる覚えは無いんだがなぁ?

 片方が上がれば片方は沈む。さながら天秤のようにな。限られた顧客を奪い合う、食うか食われるかの世界が商売の本質だぞ、ガキどもよ。


「……負けましたよニッチさん。絵と展開も粗いけど、そっちの漫画には勢いがある。本気を出したニッチさんには、悔しいけど、僕らじゃ勝てない」


 降参発言とも取れる言葉を吐き出したミックが目を閉じて肩を落とす。そうだ、それが挫折だ。上には上がいる。それを知るいい機会になったんじゃないかな? くくっ……。


「……おかしいなぁ。絶対どこかでボロ出して処刑されると思ったのに」


 アンジュよ、俺だって学んでるんだぜ? そう何度も同じ轍を踏んでたまるかよ。だから俺が処刑されて当然みたいな考えを改めろや。ちょっと十回近く首を落とされただけじゃねぇか。殆どノーカウントみたいなもんだろ。


「……で、結局オッサンは何がしたかったんだよ。俺らの売上を落としたらオッサンの分け前も減るだけだろ」


「さて、何のことやら。私はこの街で一旗揚げに来た転写魔法使いのニッチ。貴方がたが何を言っているのか全く理解できませんなぁ」


「何も理解できないのはこっちですよ、もう。……まぁ、あなたが何を考えてるのか分からないのは今に始まったことじゃないですけどね」


 アンジュは観念したようにはぁとため息を吐き、パンパンに膨れ上がった革袋をずいと差し出してきた。新聞の売上が入ってるんだろう。俺はここ最近カネを受け取りに来ていなかったから相当な金額が貯まってるらしい。

 だが、これは……。俺は革袋のヒモを緩めて中を検めた。


「……新聞の売上が落ちた割には額が多くねぇか?」


 俺の発行した漫画を買うために新聞の購読をやめたやつは多い。回し読みで妥協した層もいる。となれば俺への献金も減って然るべきなのだが……むしろ減ってるどころか増えてないかこれ。どういうことだ?


「何いってんだよ、オッサン」


 心底呆れたと言わんばかりの表情でツナが言う。


「ミックが描いた漫画の分も入ってんだぞ。量が増えるのは当たり前だろ」


 漫画の売上も入ってる……だと?

 俺は動揺した。これは何かの罠か? 賄賂の類……これをやるからもう事業を邪魔しないでくれという懇願。その線が濃厚か。


 しかし違ったらしい。ミックがさも当然のような顔をして言う。


「これで少しは恩を返せると思ったんですけどね。結局フォル……ニッチさんには勝てなかったなぁ」


「恩を返す……? お前ら、俺に黙って金儲けの算段を立ててたんじゃ……」


「いや黙ってはいたけどさぁ、儲けを丸々懐に入れるわけねーだろ。前に言ったじゃねぇか。俺らは義理堅いってよ」


 恩を返す。義理堅い。

 まさかこいつら、初めから俺に分け前を渡すつもりで漫画を描き始めたのか……?


「いや、だが、俺が交わした契約はあくまで新聞の売上だけだったはずだぞっ」


「契約とか関係ないでしょう。わたしたちが飢えから解放されたのはフォル……あぁ、もう、いちいち名前変えるのめんどくさいなぁ……フォルティさんのおかげなんですからっ」


「まさか僕らが儲けを着服すると思ったから邪魔したんですか……? 酷いなぁ」


「ったく、ちっとは俺らを信用しろっての」


「ガキども……!」


 何だよ何だよ。こいつら、揃いも揃ってフォルティとしての教えを反故にしやがって……。

 恩は押し付けるもの、借りは踏み倒すもの。全く、全く……生き汚さってもんが身についてねぇじゃねぇか。馬鹿野郎め……。そんなんじゃ賢しい大人に利用されちまうぞ。全く……。


「うわ、すっごい複雑そうな顔してる」


「口角上がってんぞオッサン」


「うるせぇうるせぇ! ったく、甘っちょろいガキだなぁ! まぁお前らがそこまで言うなら? これはありがたく貰っといてやるよっ!」


「あはははは」


「笑ってんじゃねェ!」


 俺は舌打ちした。

 ガキの頃は大人の言うことが全てだ。今のうちから処世術ってもんを仕込んでやろうと思ったのに、よりによって俺を身内認定してどうするよ。ったく……。先が思いやられるったらねぇな。


 まぁ、いい。今はまだこんなもんでいいだろう。こいつらが一端と認められる十五歳になるまではまだまだ時間がある。それまでに諸々の教育を施してやればいい。……今はまだ、このぬるま湯みたいな空気に浸からせておいてやるさ。

 そのうち。そのうちでいい。俺は馬鹿みたいに笑うガキどもを見て鼻を鳴らした。辛酸を舐めるのはもう少し後でもいいだろう。あと二年か三年か。そのくらいになったら改めて俺が世間の厳しさってのをきっちりその身に教えてやるさ。これはその授業料の前払い分ってことにしといてやるよ。俺はパンパンに膨れ上がった革袋に手を伸ばした。バンと勢いよく事務所の扉が開く。血相を変えて部屋に入ってきた一人のガキが叫ぶ。


「みんな、大変だ! またあの人が……あっ、ニッチさん!」


 大声を上げたガキが俺の姿を見るなり走り寄ってきた。バッと一枚の紙を突きつけて言う。


「ニッチさん、自分たちが発行してるものに目を通してないんですか!? これッ、これ見てくださいよ!」


 なんだなんだ騒々しい。漫画なんて王都の劇を見漁った俺からすれば落書きに等しいから目を通す必要なんてねぇんだよ。そんなにおかしい展開だったってのか?

 差し出された漫画を受け取る。いや……これは漫画じゃねぇな。一ページにみっちりと文字が書き殴られている。

 こりゃ最終話に書いとけって指示したペーペー御一行の苦労話か。目を通す価値なしと思っていたのでろくに精査せず【転写イミテート】したが……どれ。



 ■石級冒険者シルバーの冒険録 制作秘話

 以下に記すは我らの偉大なるボスの功績である

 使い物にならないゴミである我々は偉大なるボスに見出された

 ボスは我々に生きる術を与えてくださったのだ

 あぁボス! ボスを崇めよ!

 ボスは銅貨一枚の価値もない我々に高価な薬を恵んで下さった

 少量の睡眠で一日中働くことが可能になる夢のような薬である

 ボスは我々に時間の尊さを説いた

 ボスは我々に労働の喜びを説いた

 ボスは我々に奉仕の精神を説いた

 我々は我々の無能を酷く軽蔑している

 我々がどれだけ筆舌の限りを尽くしてもボスの偉大さを欠片も伝えることができないのだ

 故に我々はボスが与えてくださった有り難い言葉をそのまま書き記す

『無理ってのは嘘つきの言葉だ。できない道理を探してそこに逃げ込もうとする臆病者の言葉だ』

『寝てる時間と働く時間。どちらが尊いか分かるだろう? 寝てたら何も手に入らない。働けば経験が身につく』

『寝てない自分を褒めてやれ』

『お前らは常人の三倍働けているんだ。つまり三倍の速度で成長する。素晴らしいな?』

『苦境を喜べる精神を持て』

『生きる上で飯とやり甲斐以外に必要なものなんてあるのか?』

『働いた時間が己の価値だ』

 ︙

 ︙

 ︙


 こ、これは……。紙を持つ手が震えていた。あいつら……やってくれやがった。こんなの……こんなの制作秘話じゃなくてただの告発状じゃねぇか!


「ニッチさん……」


「この薬って、相当ヤバいやつなんじゃ……?」


「どうやってこんな凄いペースで描き上げられるのかと思ったら……こういうことだったのかぁ」


 まずい。まずいぞ。まさか適当に放った言葉がこんな形で取り沙汰されるとは思いもしなかった。この漫画がもしもギルドの連中の目に入ったら――


「失礼します」


 ミラさん。

 俺は机の上に積み上がっていた紙の束を腕で振り払ってバラ撒いた。目隠しと不意打ちを兼ねた策だ。一瞬の隙を作れさえすればいい。地の利は俺にある。俺はこの新聞社の内部構造を知っているがヤツは知らない。そこに勝機がある。考えを巡らせろ。目指すは鍵付き個室だ。治安維持担当という立場上、建物を損壊する前提の動きを良しとしないはず。ヤツにはまだ甘えがある。ヤツはガキどもに鍵を催促するか、もしくは窓から回り込もうと考えるはずだ。ほんの少しの時間が稼げる。ほんの少し。だが首を斬って逃げるには十分な時間だ。俺は既に『遍在』から生きて逃げることを視野に入れていなかった。俺は自分のプライドを少し低い位置に調整し直した。死んでもいいから逃げ切る。それが今の俺の目標だ。

 思考は一瞬。雷の如く脳裏に走った策をそのまま実行に移すために足を動かそうとしたところ紙の束を払った俺の手がむんずと掴まれた。そのまま力任せにグイと引かれてよろめいた足を刈られて引き倒される。こいつ……!


「『遍在』……ッ! なんだ今のは……速すぎる……!」


「……つい最近、失態を晒したばかりなので。逃走は……決して許しません」


 こいつ……前回の敗北を糧に成長したとでもいうのか?

 化け物……。握られた腕に伝わる圧が以前とは違う。力任せに身をよじるもまるで逃げられる気がしなかった。


「く、クソがっ! 離せ! 離せーっ!」


「転写魔法の使い手ニッチ。違法な薬物を使用して悪辣な洗脳を施し若者に奴隷さながらの労働を強いる大罪人。女神様の許でその罪、存分に雪ぐと良いでしょう」


「違法な薬物だぁ!? てめぇ、ろくな調査もせず決めつけてんじゃねぇよっ! いくらギルドの調査網が盤石だろうと、あの薬の中身を調べる時間は無かったはずだっ! てめぇ、適当こいて無実の人間を捕まえようってのか!?」


 俺は声高に冤罪を主張した。ここは新聞社の真っ只中だ。ろくな調査もせずに逮捕を強行したなんてことが知られたら評判に響くぜ……?

 実際は冤罪ではないのだがそこはどうでもよかった。これはギルドの姿勢の問題である。罪が確定してもないうちに一般人に狼藉を働こうってのかよ。えぇ!?


「よくも無実だなんていけしゃあしゃあと言えたものですね。貴方が活動していた家屋に保管してあった薬は既に優秀な錬金術師の手で解析済みです。コンフュフログの神経毒……よくもまぁ、こんな珍品を仕入れたものです」


 そう言って『遍在』は薬の鑑定表を目の前に差し出してきた。馬鹿な。早すぎる。確かに漫画が販売されてからは少々経過しているが……この手際の良さは異常と言わざるを得ない。家宅捜索と解析を小一時間で済ませた? 有り得ない。


「でっ、デタラメだッ!」


「デタラメではありません」


 熱を感じさせない声で言い切った『遍在』が五枚の紙をスッと差し出してきた。俺が発行していた漫画だった。


「明け方前から列に並び、朝一番で購入しました。故に調査に割く時間があったのです。新聞社の皆さんも……おわかり頂けましたね?」


 徹夜勢だったんですね、ミラさん。そりゃ納得ですわ。


 ▷


 石級冒険者ゴールドの冒険譚! 第十五話

「離せッ! 俺は行き場を失った冒険者に仕事を与えてやっただけじゃねぇか! クソがっ! クソがーッ!」

 一人の男が首枷を嵌められて何事かを喚き散らしている。

「犯罪者か。まったく、どこにでもいるもんだな」ヤレヤレ

 馬鹿な男だ。この街は凄腕の冒険者が日夜を問わず睨みを効かせている。

 俺でもやべぇと肌で感じるほどの猛者たちだ。どうして彼らの目を欺けるなんて思い上がっちまったのかね。

「悪を裁く治安維持担当……かっけぇぜ」クゥー

 俺は金級を目指す男。いつか治安維持担当に抜擢されることもあるだろうか?

 精進は欠かせないぜっ!

「最期に何か言い残すことはありますか?」

「誰でもいい! 誰か俺を助けろー! 助けてくれー! クソがー」ガコン

 ギロチンが悪辣な犯罪者の首を落とした。こうして今日も街の平和は保たれている。

 俺もいつか街の人たちに感謝されるような冒険者になってみせるぜ!

 俺は光の粒になって溶けていく哀れな犯罪者を見送りながら固く誓うのであった。

 ※エンデの街は凶悪な犯罪をけして許しません。常に誠実を心掛けましょう!

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