第14話 私、アンタの事好きなんだよ

【登場人物紹介】

これまでのあらすじを踏まえた人物紹介です。


真鍋星矢(せいや)…社会人二年目。優柔不断。添い寝した彼氏持ちの後輩、愛未とストーカー対策として恋人のフリをしている後輩、春花のどちらが好きか分からず心が揺れる。しかし、自分を信じて本心を露わにしてくれた愛未に告白した。



多田愛未(まなみ)…社会人一年目。あざと系女子。自身のあざとさ故に星矢を振り回していたが星矢に対する気持ちは本当だったみたいで、、?星矢に告白され、彼氏と別れるまで待ってて欲しいと頼む。



中野春花(はるか)…社会人一年目。星矢が教育係として色々教えている後輩。ストーカーの被害にあっており、ストーカーに彼氏いると思わせて諦めてもらうために星矢と恋人のフリをしている関係でもある。



春日部博(ひろし)…星矢の良き相談相手。周りから好かれる愛されキャラであるが、恋愛関係になることはあまりない。しかし、二日目の夜、星矢の上司、内間と二人で海に行っていた。



内間君恵(きみえ)…星矢の上司。何故か星矢に厳しい。プライベートはあまり人に明かさないため、謎に包まれている。前回の話で星矢と二人で大阪出張に行くことが決まる。




______________________




………こんなに興奮しないことあるんだ………


 露出の多い服を着てきた内間さんを見て星矢は第一にこう思った。

普通、普段と雰囲気が違ったりすると多少は意識する。例えばいつもより露出の多い服を着ていたり、髪型を変えていたり、メイクがいつもと違っていたり。星矢はかなりチョロい人間であるのでそれだけでキュンとしちゃうこともある。しかし、いつもより露出の多い服を着ている内間さんに対して星矢は何も感じなかった。それだけ内間さんは恋愛対象とは程遠いのか、それとも愛未に恋しているからなのか。



そして何事もなく、大阪出張も後二日となった。その間、泊まっている部屋は星矢と内間さんで違っていたし本当に仕事以外で関わることはなかった。なんなら星矢は毎日のように愛未と電話していた。恋人のフリしてる春花にも心配のメッセージを送っていた。春花は最近はストーカーの被害も少なくて普通に出社できてるとのことだった。


取引先との契約が終わった後、内間さんが「せっかくだし飲み行こうよ。奢るよ」と星矢に声をかけた。正直、早く部屋に戻って休みたかったが断ると怒りそうなので仕方なく行く事にした。

酔いが回ってきた頃、内間さんはいきなり聞いてきた。


「アンタさ、中野って子と付き合ってんの?」


衝撃だった。まさか聞かれると思わない質問だったからだ。


「え、付き合ってませんけど。ただの後輩です」


「あっそ。てっきりそうなのかなって思って」


「そうだったらどうなるんですか?」


「私、アンタの事好きみたいなんだよ。だからさ、中野と付き合ってるんなら諦めなきゃって思ってたんだよ」


「え、今、何て言いました?」


「だから!私、アンタの事好きなんだよ。」


「何かの冗談ですか?」


「そういうとこ、ホント腹立つから直した方がいいよ。」


内間さんは怒ってお金だけ机に置き、店を後にした。


………え、いきなり告白されていきなり怒られたんだけどどういうこと?………



その日の夜、頭の整理をつけるために内間さんに告白されたことを博に電話で話した。博は内間さんが星矢の事を好きだと知っていた。どうやら社員旅行で海で二人で話していた事は星矢についての相談だったらしい。


「え、本当に俺の事、好きなの?俺、てっきり嫌われてるのかと思ってたんだけど」


「ばーか。好きだから厳しくなっちゃうんじゃないの?上司なのもあるかもな。それに今回の大阪の出張も本当は行くの俺の予定だったんだけど頼まれて星矢に変えたんだよ」


「そうなの!?衝撃すぎるって。でもさ、俺、今、愛未の事好きだからさ」


「だよなぁ。俺も頼まれて協力はしてたけど正直、星矢が内間さんの事好きになることはないだろうなって何となく分かってた。」


「まあ告白されたからには答えを出すよ。」


星矢は博と話して明日、告白の返事をしようと決めた。


翌日。大阪出張の帰り道。新幹線の中で星矢は切り出した。


「あの、昨日の事なんですけどね。」


「あ、何?」


「やっぱり俺、内間さんとは付き合えません。上司として尊敬はしてますけど恋愛的には見てなかったですし。」


「あっそ。答えくれなんて言ってないのに生意気ね」


内間さんは少し拗ねたように返した。


………この人、もしかしたらかなりの天邪鬼なのかもしれない………


星矢はそう思うと少し可愛くも思えてきた。もちろん好きになることは絶対ないけど。


「告白されたからって気まずそうにはしないでね。今まで通り上司部下の関係は変わらないんだからさ」


「もちろんです。そんなにガキじゃありません」


「ふっ」


そう言って照れくさそうに笑った。


………あぁ、この人、素直になれない人なんだな………


内間さんの本心が分かると今までの苦手な上司という気持ちは薄れていた。むしろ勇気を振り絞って告白してくれたことに感謝しようと思ったし、その告白が星矢に勇気をもたらした。


………よし。東京戻ったら愛未にもっかい告白してみよう。今の微妙な関係を脱却するんだ………


星矢の覚悟と共に新幹線は東京へ向かって走り続けていた。









_______________________


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!感想や主人公が誰と結ばれるのか等、予想を応援コメントとかに書いてくれるととても嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る