第21話 ヘンタイストーカー美少女はいかがですか?②
「とにかくもう遅刻はしないように!わかったらとっとと席につけ」
「はーい」
俺は自分の席までトボトボ歩いた。
「ねえ、ちょっと――」
「はい?」
かばんを机に置いたとき、俺は誰かから声をかけられた。
なんの混じり気も感じないような透き通る声につられて顔を上げると、目の前に輪島月夏が立っていた。
絹糸のようにきれいな金髪を耳にかける仕草に思わず見惚れてしまう。
どうしても彼女の強調された胸部に目がいってしまうが、どこか清楚に見えるのはなぜだろう。
そんな輪島月夏という、文字通りの美少女が俺を一心に見つめていた。
「えッ、お、俺?」
「うん、そだよ。鬼灯君に話してるー」
輪島月夏が俺に話かけていることが未だに信じられなかった。
俺なんて友達は片手で数えられる程度しかいないし、うさぎを飼育しているだけの目立たないクラスメイトでしかないはずだ。
だからこそ、今俺は完全にクラスメイトの注目の的になっていた。
「で、な、なんでしょうか……?」
「あー、そうそう。今日の放課後、ちょっと付き合ってくれない?」
「……は?」
「話したいことがあるから。じゃ、そゆことで。よろしくー」
輪島月夏はスマホを持ったまま俺に手を振り、自分の席に戻っていった。
一体何が起こったのいうのだろうか……?
教室は完全にどよめいていた。
「おいおいおいおいッ!なんでお前なんかが輪島月夏と話できるんだよッ!しかも何か誘われてなかったかッ!?説明しろよッ――」
後ろの席に座っていた時人が身を乗り出して俺の肩を掴んできた。
「それはこっちのセリフだよ。今話したのが初めてだ。なんの接点もない」
「嘘をつけッ!俺は満のこと信じてのによおッ!一緒に童貞同盟結んだ仲じゃねーかッ!」
「そんな同盟結んだ覚えないわッ!」
時人は涙目で俺の肩を左右に揺すった。
ここで、一時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます