第20話 ヘンタイストーカー美少女はいかがですか?①
「きとうまッ――。鬼灯、今何時だと思ってる?遅刻だぞ」
「ぜえ……、ぜえ……。すみませんッ!」
俺は手を膝にのせ、肩で息をした。
というのも、伊香賀ちゃんの足が異常に遅く、途中でおんぶして行ったからである。
なんとか一時限目の授業が始まる前には来れることができたが、すでに朝のHRは終了していた。
あと先生そろそろクラスメイトの前で「きとうまん」言いかけるのやめてください……。
「すみません。まだ道に慣れてなくて、迷ってしまいました」
「そうか、伊香賀はいいだろう。次から気を付けるように」
「はい」
「ちょ、おまッ――!」
伊香賀ちゃんは逃げるように自分の席についた。
「鬼灯。お前はこっちに来い」
「はい……」
俺は教卓に素早く近づいた。
「今の処遇でよく遅刻できたもんだな?」
「はい。自分でもびっくりしてます」
「遅刻などの悪い生活態度を見せるということは後々自分が不利になる。気を付け給え」
夏夜先生はニヤリと口角を上げて言った。
おそらく昨日言ったことを示唆しているのだろう。
幼女を家に連れ込んでいる様子の写真には誤りがあり、自分は潔白であるということを一週間以内に証明すること。
この証明の確からしさというのは全て夏夜先生の独断と偏見で決められるものだ。
夏夜先生にはこの一週間良い態度を見せる必要がありそうだ。
「大丈夫だ。たった一枚の用紙にポンッとハンコを押してくれればいい。気持ちがスッと楽になるぞ。気持ちが固まったらいつでも声をかけてくれ」
「ヒィッ――!」
夏夜先生は他の人には聞こえないように俺の耳元で囁いた。
一枚の用紙ってなんですかッ!婚姻届けじゃないですよねッ!?
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