第3話 ナナの病気
6年間はみんな平穏に暮らしてきたけど、ナナが痩せ始めた。
ナナは前から病気がちで、心臓が悪かった。
心臓病の薬の副作用で緑内障や白内障になり、痩せたりまた戻ったりしたので、いつもの事だと思ったが今回は違った。
痩せたナナの体は、腎臓癌に蝕まれていた。
以前からナナはお腹に腫瘍があった。
心臓が悪いので、開腹手術は死の危険があるのでママは断っていたのだ。
ママは後悔したが、今ではもう手遅れだ。
ナナはどんどん痩せて小さくなり、餌も食べなくなった。
おいらはナナが心配でいつもそばにいた。
なんとか元気になって欲しかった。
苦しそうに寝ているナナに話しかけた。
「ナナ、頑張れよ」
「ありがとうよ。励ましてもらって悪いが、今回はダメだな。ママには今まで、色々な病気になって迷惑ばっかりかけてきた。お金もいっぱい使わせたし、もうママを解放してあげる時期かもしれない。でも、みんなと暮らせて楽しかったし、幸せだった。ロク、後の事は頼んだよ」
「ナナ、おいらも一緒に行くよ、兄弟だろう。おじいちゃんが死んだ時に、おいら達は一緒に虹の橋を渡るって約束しただろう」
「虹の橋?」
「そうだよ、おいら達はおじいちゃんのペットとして拾われて来たから、死んだらすぐに虹の橋を渡って天国に行けるんだよ」
「じゃあ、先に渡らせてもらうよ。どうやらおじいちゃんが迎えに来たみたいだ。後のことは頼むよ」
ナナは尻尾を横に振って目を閉じて、息をしなくなった。
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