第25話
ホワイトデー当日。
「涼華。ちょっといいか?」
「何~? どうしたの?」
「これ、バレンタインデーのお返し」
「えっ!? 嘘!? くれないから忘れてるのかと思ってた!」
「忘れてるわけないだろ」
「嬉しい! ありがと! 開けてもいい?」
「あぁ」
俺の隣に座った涼華はラッピングを丁寧に剥がして箱の蓋を開けた。
「飴?」
「飴だな」
「チョコレートじゃないんだ」
「チョコレートがよかったか?」
「ううん。何でもいいけど、なんで飴なの?」
「調べてみたら分かるんじゃないか」
俺がそう言うと涼華はスマホを操作して調べ始めた。
俺もバレンタインデーのお返しに何を贈ろうかと調べて初めて知った。
ホワイトデーに飴を贈るということは……。
「あなたのことが好き」
という意味があるらしい。
飴の意味を呟いた涼華は俺の顔と飴を交互に見た。
「飴にこんな意味があったんだね」
「な、俺も調べて初めて知った」
「粋なことするね~。ま、孝之が私のことを好きだってことは毎日肌で感じて知ってるけどね♡」
俺の首に腕を回してきた涼華はキスをしてきた。
「私も孝之のこと好きだよ♡」
「知ってる」
「だよね~♡ これからもよろしくね♡ 孝之♡」
「こちらこそよろしくな」
☆☆☆
〈獅子王視点〉
明日、恵さんはこの街から旅立つ。
今日でしばらく会えなくなると思うと寂しい。
この一カ月で、そう思ってしまうほど僕は恵さんのことを好きになっていた。
「恵さん。これ、バレンタインデーのお返しです」
「ありがとうございます。開けてみてもいいですか?」
「はい」
引っ越しの準備がひと段落したところで僕はバレンタインデーのお返しを恵さんに渡した。
「これは飴ですか?」
「はい」
僕がバレンタインデーのお返しとして選んだのは飴だった。
孝之と一緒にバレンタインデーのお返しに何を贈ればいいかと考えて、調べた結果、飴になった。
なぜなら、ホワイトデーに飴を贈ることには……。
「あなたのことが好き」
「えっ?」
「ですよね? ホワイトデーのお返しに飴を贈るのは」
「知ってたんですね」
「はい」
「さすがですね。その通りです」
恵さんが言った通り、ホワイトデーに飴を贈ることは「あなたのことが好き」という意味があるらしい。
自分の気持ちに気がついたから、恵さんのことを好きだと思っているから、飴をお返しに贈ることにした。
「飴をお返しに選んだということは護くんは私のことを好きということでいいのでしょうか?」
「・・・・・・はい」
「そうですか」
恵さんは飴を見つめニヤニヤと嬉しそうに頬を緩めていた。
「嬉しいです。ありがとうございます」
そんな恵さんの横顔を見て僕は決意を決めた。
「恵さん」
「はい」
「今もこれから先もずっと恵さんのことが好きです。なので、これからもよろしくお願いします」
「ふふ、これから先も私のことが好きなんですか? 護くんは未来のことが分かるのですね」
「あ、いや、それは・・・・・・」
「私も未来のこと分かりますよ。私もこれから先もずっと護くんのことが好きです。この未来は絶対に変わることはありません。なので、これからもよろしくお願いしますね」
天使の微笑みを浮かべた恵さんはキスをしてきた。
恵さんとの初めてキスは甘い味がした。
☆☆☆
これにて完結。
次の小説をお楽しみに〜
バレンタインデーにギャルから本命チョコレートを貰ったら 夜空 星龍 @kugaryuu
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