第10話 どうしてこうなった…
翔に自分の過去を打ち明けてから約一週間、まだ俺は
最近では両親に相談するにも美華は俺にべったりだっため難しかったが以前の美華を知る俺たち家族は美華に過去の話をするか昔から意見が割れていて頻繁に話し合っていたが、そろそろ決断を出さなくてはいけない。
今日は家に美華がいない、
(父さんと母さんに相談するなら今日しかない!)
気合を入れ、美華が家を出た数分後にリビングにいる両親に話しかけた。
「父さん、母さん、美華のことで話があるんだけど」
「ああ、なんだ?もしかして学校で何かあったか?」
「……」
母さんは俺の表情を見て、家事の手を止め悲しげな表情でうつむいた。
「そう…ね…今なら美華ちゃんもいないものね」
「ああ、その話か…何度も言っているが、僕は反対だよ、美華にとっても僕たちにとっても、今の幸せを壊す必要もないだろう」
「だけど、ふとした拍子に記憶が戻った時、俺たちが事実を隠していたと知った時に美華はどう思う?裏切られたって感じてもおかしくない」
「それは幸也がそう思っているだけだろう?そうならない可能性も十分にある、美華が
俺と父さんの意見は真っ二つに割れている、俺はいわば美華をだましている現状を嫌って話した方がいいと考えている、父さんは話すことによって今の家族の関係が壊れること、そして美華が以前の状態になってしまうことを恐れている。
「私は……やっぱり話した方がいいと思うわ…」
「「!!」」
母さんがこの話し合いの時に意見を出すのは珍しい、母さんも父さんと同様に関係が壊れることが心配だがいつかは話さなければと思ているため決断することが出来ない、そのためいつもの話し合いでは聞くことに徹している。
「結衣さん…でも…それで美華に嫌われてしまうかもしれないんだよ?あんなに仲がいいのに……」
「いいの、私が嫌われるだけなら、でも、実のお母さんのことを思い出せないのはきっとつらいことだと思うの……お母さんのことが大切だったからこそああなってしまったんだもの……」
「それは…だが……」
「もうあんなことにはならないと思うわ、美華ちゃんは成長したもの、もう小さな子供じゃない、もう自分の気持ちぐらい自分で受け止められるわ」
「……」
「それに、最近美華ちゃん変わったもの、幸也とも仲良くなったみたいだし…」
「……そうだね、最近美華は以前より明るくなった、何かに吹っ切れたみたいに…もう、僕が守る必要もないのかもしれないな…それに、今は結衣さんも幸也もいる、もうあんなことにはならないと信じよう…」
「父さん……」
「だが、もう少し待ってくれないか、あと一週間でいい、まだ少し勇気が足りないんだ、そしたら僕から美華に話すよ、美華の母親はもう死んでしまったってことを…」
「うん、わかったよ、それじゃあ来週の土曜日に―――」
ガタッドサッ
玄関の外で何かの物音がした。
「!!、まさか!」
父さんが、急いだ様子でリビングの扉を開けると、そこには倒れた美華がいた。
美華を急いで病院へ行った後家のベッドに寝かせてからかなりの時間がたったが、美華が起きる様子はない、美華と遊ぶ予定だった倉掛さんには体調不良として連絡した、とても心配していたが納得してくれたようだ。
「俺のせいだ…俺が美華に自分の過去を教えるべきだなんて言ったから……」
「あれは誰のせいでもないよ、美華が戻ってくるなんて僕たちにわかるわけがないからね」
落ち着いているように見えるが父さんも内心不安なはずだ、実の娘が倒れてしまったのだから。
「二人とも大丈夫よ、先生もストレスによる一時的なものって言ってたじゃない、きっとすぐ起きてくれるはずよ、まずはみんな休みましょう、もう日付が変わってしまうわ」
「ああ、そうだな…幸也もすぐに寝るんだよ」
二人はそう言うが、正直眠れない、もっとどうにかできたのではないか、美華が戻ってくることを予測できたのでは、もう少し相談するのを遅らせていれば、そもそもこんなこと相談しなければ、そんな考えがぐるぐると頭の中を巡り、ちっとも眠くならない。
俺は夜が明けるまで、美華が以前のようにならないよう祈ることしかできなかった。
夜が明けてすぐ、美華の部屋を開けて様子を見ようとドアを開けると、美華が起き上がっていた。
「!!、み、美華!大丈夫か?!なんともないか?!」
美華に駆け寄り、美華がどうなっているか確認するために声をかける。
「幸也…大丈夫、なんともないよ、もうあんなことにはならないから、お父さんとお母さんも呼んできてくれない?」
「あ、ああ、分かった!」
俺は急いで両親の部屋へ急いだ、ドアをノックするとすぐに返事が返ってきたのでドアを開け、美華が起きたことを報告した。
「美華、本当に大丈夫なのかい?」
「うん、なんともないよ」
「よかった…!本当によかった……!」
父さんは美華の手を握り、安心したのかぼろぼろと涙をこぼしている。
「お父さん、お母さん、幸也…私、記憶が戻ったわ」
「!!、そう…なのね…よかったわ…お母さんのことを思い出せたのね」
母さんが悲しそうに眼を伏せながら手を握り締めている。
「うん、お母さんも幸也も、血がつながっていないんだね…」
「「!!」」
美華の記憶が戻っても以前のようにならなかったのはうれしいが、俺たちの血がつながっていないという事実にどういう感情を抱くだろう、怒りだろうか、それとも悲しみだろうか、確認できる能力を持っていながら俺は怖くて使うことが出来ないでいた。
「二人ともそんなに怖がらなくても大丈夫だよ、私は昔のお母さんも、今のお母さんも、幸也だって大切な人だから、急に嫌ったりなんかしないよ」
「ありがとう……ありがとう美華ちゃん」
「幸也の言う通りだったな、美華はもう、自分の過去を背負えるくらい成長したんだな…」
「それに、幸也と血がつながってないなら私と幸也は結婚できるよね!」
「「「……え?」」」
唐突に美華が変なことを言ったので反応がやや遅れてしまった、それは両親も同じようで、二人とも驚いた顔で美華を見ている。
「は、ははは、もう冗談も言えるなら美華も大丈夫だな!安心したよ」
父さんが平静を装いつつ美華に答えた、落ち着いて考えれば確かに最近まで美華は俺に対して嫌っているような態度をとっていた、そんな相手といきなり結婚したいとは思わないだろう。
「な、なんだ冗談か!びっくりした!」
「え?冗談じゃないよ?」
冗談じゃなかったようだ。
「で、でも美華は最近まで俺を嫌っていたんじゃないのか?どうしていきなり…?」
「いきなりじゃないよ、実は、中学生のころから幸也のことが好きだったの、でも…兄妹じゃ結婚できないでしょ?だからそっけない態度をとって幸也のことを諦めようと思ってたの、でも血がつながっていないんでしょ?なら結婚できるよね!。お父さんもお母さんも応援してくれるでしょ?」
「う~ん………まあ、知らない男よりはましか…?」
「父さん?!」
「いいんじゃないかしら?法律的にも問題ないはずよ?」
「母さんまで?!」
「幸也……私のこと嫌いなの…?」
「い、いや、そんなことはないけど…今まで家族として接してきたからいきなり結婚って言われても…」
「だったら大丈夫!これから恋人になればいいだけだし!」
「そ、そうですね…?」
俺は、自分の悩みを解決するために親友を作る努力をして、結果、翔という友人が出来て、美華の記憶も戻った、だけど美華が俺のことを昔から好きだって…?結婚するって…?
「どうしてこうなった…?」
―――――――――――――――――――――――――
次回美華視点を書いて1章終わりです。
正直1章までで考えていたというか、こんな設定の小説あったらな~みたいな妄想のストックがなくなってしまったので2章に続くかどうかはわかりません。
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