第28話 結論(高橋佐枝 side)

 なんで私はあんな態度を取ってしまったのだろう。私は家に帰ってからも一人で悩み続けていた。


 嫉妬。絵里はそう言ってたけど、そうなのだろうか。

 確かに冷静に考えたらそうかもしれない。私は松岡さんに嫉妬してしまっていた。私があの場所に居たのに、とどうしても思ってしまう。


 でも、私が交際を断ったのは事実だ。それは良和とはそういう関係では無いと思っていたからだ。恋人の関係は面倒だし正直、恐い。そういう関係になって周りにいろいろ言われたり、気を遣ったり。相手に何かをしなくてはいけない義務感も出てしまう。そういうこともあって、恋人の関係にはなりたくなかった。


 でも良和と仲良くなりたい気持ちはどうしても止められなかった。そして、今日の自分の行動。どう考えても「好き」って感じに見えてしまう。


 明日もまた、あの教室で良和と松岡さんのイチャイチャを見ていられるだろうか。そう考えたらとても我慢できない。


 やっぱり、私は良和のことが好きなんだ。結局、そういう結論になってしまう。


 じゃあ、明日からどうしたらいいんだろうか。私が素直になればそれで全て解決するように思える。私は絵里に電話で相談してみた。


「佐枝、大丈夫?」


「うん、もう大丈夫。自分の中で納得できた」


「そう。で、それはどういう納得?」


「良和が好きって分かった」


「今更? もう遅いんじゃない?」


「そんなことない。……と思うけど、もう遅いかな」


 絵里の言葉に不安が募る。


「うーん……結局は堺君次第かな。まだ、そこまで進展してないでしょ、あの2人」


「そう思う。それにあの2人がどうとか関係ないし」


「え? どういうこと?」


 私は正直、松岡さんのことは眼中に無い。私と良和の問題なのだから。


「だって、私が良和の思いに応えればいいだけでしょ?」


「そう……なのかな」


「違う? 私が付き合いたいと言えば、大丈夫だよね?」


「うーん、そうだといいけど」


 絵里に認めてもらいたかったけど、自信が無さそうだった。


「だって、良和は何度も付き合ってほしいって言ってきてたし。結局、私のことが好きだもん」


「でも、断ったんでしょ?」


「うん。でも、今は違うから。付き合ってもいいって思ってる」


「堺君の気持ちが離れちゃってる可能性もあるよ?」


「それは……大丈夫だと思う。今までもいろいろあったけど、良和が私と付き合いたいってことは変わってなかったし」


「そっか……でも、動くなら早いほうがいいんじゃない? あの2人がいろいろと進んじゃう前に」


「うん。明日、私から告白する。これでいいよね?」


「う、うん。応援はしてるから」


「ありがとう」


「でも、無理はしないで」


「無理? うん。わかった」


 よく分からなかったけど、絵里も応援してくれるし、大丈夫。

 明日、決着を付ける。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る