第24話 登校

「おはようございます」


 翌朝、俺と松岡さんは同じ路面電車に乗るように待ち合わせた。


「おはよう」


 俺たちは一緒に路面電車に乗り込む。ちょうど座ることが出来た。


「あの……手をつないでもいいですか?」


 松岡さんが聞いてきた。


「え?」


「付き合ってるってそういうことですよね」


「……分かった」


 俺たちは手をつないだ。周りの目が気になるが、京子は嬉しそうだ。


 路面電車を降りても俺たちは手をつないだままだった。

 そこにちょうど中井さんがやってきた。


「あ、京子! あ、早速だね」


 ニヤニヤしながら中井さんが近づいてくる。付き合いだしたのを知ってるのか。


「ごめんなさい、真美には付き合うことになったって話したから」


 松岡さんが教えてくれた。


「そ、そうか。照れくさいな」


「お似合いだよ、二人。じゃあね!」


 他にも見知らぬ生徒の視線を感じなら俺たちはそれぞれの教室へと入っていった。


「あれ? 彼女は一緒じゃないのか?」


 教室に入ったら佐藤に問いかけられた。


「一緒に来たけどここまで来るはずないだろ?」


「そりゃそうか。それにしても、おめでとう!」


 俺は何も言ってないのに、お前も知っているのか。中井さんからの連絡だな。


「ああ。なんか付き合うことになった」


「うん。真美から聞いた。これでダブルデートだな」


「そのうちな」


「え!? なになに?」


 そこに相澤絵里が近づいてきた。


「いやあ、こいつに彼女が出来たから」


 佐藤が言う。


「え? おめでとう! 佐枝もやるじゃん!」


「違うよ。隣のクラスの松岡さん」


 俺が言うと相澤さんは驚いた顔をした。


「あ、そうなんだ。ごめん」


 ばつの悪い顔をして自分の席に戻っていった。


 しばらくしたら佐枝が教室に入ってきて席に着いた。相澤さんは早速何か話しかけている。

 佐枝は俺の方を見てきた。俺は目をそらすしかなかった。


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