第22話 相談(高橋佐枝side)

 絵里に良和のことを相談したかったけれど、誰にも話を聞かれたくない。結局、絵里を自分の部屋に呼んだ。


 そして、これまでのことを全て話した。絵里は全てを聞いてから言った。


「なるほどねぇ、難しいな。でも、佐枝が堺君を何度も振ってたのは驚いたなあ」


「え? 振った?」


「交際断ったんでしょ。じゃあ、振ったってことじゃん」


「そっか」


 そういうことになるのか。良和は何度も傷ついたのだろうか。


「そりゃそうでしょ。だから堺君、あんな感じだったんだ」


「うん。でも、また元に戻れたから」


「それは堺君が無理してたんだよ。だからもう我慢できなかったのかな」


「うーん……」


 無理していたんだ。そこに私が期待をさせるようなことをしてしまった。


「で、佐枝はどうしたいの?」


「……元の関係に戻りたい」


「そっか。じゃあ、付き合えば?」


「はあ? 話聞いてた?」


 絵里は全く分かってない。

 私は良和をそんな風には見ていない。昔と同じように話したいだけだ。


「話聞いてたよ。佐枝は堺君と親しくなりたいんでしょ」


「そりゃそうだけど」


「親しくできなくて、今は寂しいんでしょ?」


「うん」


「それは好きってことじゃないの?」


「え?」


 そんなはずはない。私は友人として彼を見てきた。


「じゃないと、そんなに執着しないよ?」


 ――執着、しているのだろうか。確かにあれから何とか良和と仲良くなろうとずっと考えてきた。私がそこまで良和にこだわるのは何なんだろうか。


 これは好きってことなんだろうか。でも、好きだとしてもそれは友人としてであって、恋人としてのそれとは違うはずだ。


 絵里の言葉に素直に従うことはできなかった。これからどうしたらよいのだろうか。絵里が帰った後もずっと考えていた。


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