第18話 一週間

 ──あれから一週間。松岡さんともまた普段通りに話せるようになった。昼休みにアニメの話をしたり、家に帰ってからもネットを通じてアニメの実況も楽しんでいる。毎日ではないが、一緒に帰ることもある。


 そして、佐枝とも普通に話すようになった。佐枝も気軽に話しかけてくるようになり、教室で普通に話せるようになった。きっとこれでよかったのだろう。俺が佐枝と付き合おうなどと思ったのがいけなかったのだ。


 この日の休み時間にも佐枝が話しかけてきた。


「英語の課題やってきた?」


「うーん、最後の1問が分からなくて」


「あー、あれは難しいね。見る?」


「頼む」


「うん、あとで持ってくるね」


 佐藤義人が席に帰ってくると佐枝は去って行った。佐枝は佐藤とは全く話そうとしないし、佐藤もまた同じだった。


「なあ、高橋さんとすっかり仲良くなったな。これはゴールも近いか?」


 佐藤が言う。


「全く無いな」


「なんでだよ」


「中学の時は今とは比べものにならないぐらい話してたんだが、ダメだったんたぞ」


「マジか」


「その他大勢に戻っただけだ」


「そうか。端から見たら好意ありそうに見えるけどな」


「それにだまされるんだよ。俺は現実知ったからもう大丈夫だけどな」


 そう言って、俺は他の生徒と話している高橋さんを見た。




 昼休み、松岡さんと中井さんが来た。

 お昼を食べ終わっても、いつもように俺たちは馬鹿話をしていた。すると、そこに佐枝がやってくる。


「良和、これ英語の課題」


「ああ。ありがとう」


「うん」


 佐枝はノートを渡し、去って行った。


「堺君、高橋さんとほんとに仲直りしたんですね」


 松岡さんが言う。


「あー、まあね。もう大丈夫だから」


「ほんとですか?」


「うん、大丈夫」


「そうですか。無理しないでくださいね」


「ありがとう」


 松岡さんは俺のことが心配のようだが、俺はもう大丈夫のはずだ。

 佐枝はただの友達に過ぎない。


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