第15話 放課後
そして、放課後、俺は松岡さんと一緒に帰っている。
「今日、『四人の花嫁』最終回ですね」
「そうだな。ついに誰と結ばれるか明らかになるな」
「もう、すっごく楽しみです」
「俺もだよ」
見ているアニメが似ているので、その感想を話し合うのが楽しい。それに、お互いが見ていないアニメも紹介しあっていて、しかもそれがどちらにとっても面白かった。
「松岡さんさえ良ければ、また、ネットで話しながら一緒に見ようよ」
「それなんですけど……」
「え、どうしたの? ダメなの?」
アニメをリアルタイムで見ながら感想を言い合うのを松岡さんも楽しみにしてくれていると思ったけど、違ったんだろうか。
「で、できれば一緒に見たいなって」
「うん、だからネットで……」
「ネットじゃなくて……」
「え?」
「その、リアルで……」
「リアル?」
「今日、親の帰りが遅くてずっと1人なんです。少し、寂しいなって」
「そ、そうなんだ」
「だから……うちで堺君と一緒に見れれば……」
思わぬ誘いだ。しかし、松岡さんも家で一人というのは寂しいだろうなと思う。自分が居れば心強く感じてくれるだろうか。
「もし、かまわないんだったら、お邪魔させてもらおうかな」
「ほんとですか?」
「うん。『四人の花嫁』は10時からだっけ。遅いけど何とかなると思う。終わったら帰るから」
「はい! よかった~。こういう誘いは初めてなんで緊張しました」
「そうなんだ。じゃあ、どうしようか。9時頃来たらいい?」
「えっと……ずっと1人なんで、できればその……直接」
「え? 今から?」
「ダメ……ですか? ご飯は私が作りますから」
「そんな、悪いよ」
「でも、一緒に居てくれると心強いので、そのお礼で」
「分かった。じゃあ、一緒に他のアニメもいろいろ見ようか」
「はい!」
松岡さんは見たことが無いほどの笑顔になった。
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