第14話 会話

 翌日、俺が登校していると後ろから高橋佐枝が来た。


「おはよう」


「ああ、おはよう」


 挨拶はされたら普通返す。俺は普通にしているだけだ。


「今日は数学小テストあるね」


「そうだな」


「自信あるの?」


「無い」


「そうなんだ。後で一緒に予習する?」


「無理だな」


「そっか」


 俺はどうしてもそっけなく返してしまう。そこに松岡さんがやってきた。


「じゃあ、私、行くね」


 佐枝はそう言って離れていった。


「堺君、大丈夫ですか?」


 松岡さんが心配して聞く。


「ああ。もう心配はいらないから。でも、佐枝と仲良くなったわけでも無いよ。関わらないことは辞めたってだけ」


「そうですか。わかりました。でも、アニメの話もしたいし、今日も一緒に帰っていいですか?」


「もちろん」


「じゃあ待ってます!」



 数学の授業が終わると佐枝が話しかけてきた。


「小テストどうだった?」


「2問目が分からなかったな」


「そうなんだ。あれはちょっと難しかったよね」


「ああ」


「……じゃあ、またね」


「うん」


 佐枝が去って行くと佐藤が話しかけてきた。


「お前、高橋さんと仲直りしたのか?」


「仲直りとはいかないだろうが話すことにはしたんだ」


「そうか。まだぎこちなかったな」


「まあな。どう相手していいかよく分からんし」


「とりあえず自然にしておけよ。特別な関係感が出ちゃってるぞ」


「……そうか。努力する」


 まだ俺には佐枝と自然に話をするには難しかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る