第5話 感想

 早速、俺はその夜に家でアニメ「迷子道」を見てみた。確かに引き込まれるストーリーだ。これは話題になるのも分かる。バンドアニメだけあって、曲もいい。もう8話まで進んでいたが、一気に見てしまった。


 そして、翌日。お昼休みになるとすぐに中井さんと松岡さんがやってきた。


「今日は早いね」


 佐藤が言う。


「京子が堺君の感想を聞くのを楽しみにしてて。引っ張られてきたよ」


「えっと……、だって……」


 松岡さんが少し恥ずかしそうに俺を見た。


「迷子道だろ? もちろん、見てきたよ。すごく面白かった!」


「そうですか!」


 松岡さんの顔が輝いた。


「うん、ただ、よくわからないところがあって……」


「えっ、どこですか?」


「最初にバンド辞める人いるでしょ、あれ何でなの?」


「あれはまだはっきりしてませんが、さまざまな説があって……」


 松岡さんと俺は迷子道の話ですごく盛り上がる。佐藤と中井は今日は静かにそれをニコニコと聞いていた。


 結局盛り上がりすぎて、あっという間にお昼休みは終わってしまう。


「ほら、もう行かないと」


「うう、話し足りないです……」


 松岡さんがそう言うと佐藤が提案した。


「じゃあ、今日は4人で帰って、どこか寄ってこうぜ」


「私はオッケーだよ!」


「わ、私も大丈夫です」


「じゃあ、また連絡するね!」


 そう言って、中井さんと松岡さんは自分の教室に帰っていった。


「いやあ、松岡さんとお前が仲良くなって嬉しいよ」


 佐藤がニコニコ顔で言う。


「何でお前が嬉しいんだよ」


「だって4人でダブルデートできるじゃん」


「ダ、ダブル……デート」


「うん。まあ、俺と真美は付き合ってないけどカップルみたいなもんだしな。お前たちが刺激になって俺たちの関係も進められば……」


 佐藤は最後の方は小声で言った。


「ん?」


「いや、こっちの話」


 佐藤もいろいろ複雑な思いを抱えているようだ。


 ふと、視線を感じて振り返ると、佐枝がこちらを見ていた。

 俺は慌てて目をそらした。

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