第4話 共通の話題
こうして、4人でお昼を共にするようになった。
俺たちは次第に仲良くなり、いろいろな話が出来るようになった。
「お休みの日にはお二人一緒に出かけたりするんですか?」
松岡さんは佐藤と中井の幼なじみ関係にずっと興味津々だ。
「そうね、たまには出かけるよ。カラオケとか」
「松岡さんは休日は何してる?」
「私は……家で本読んだりアニメ見たりしてます」
アニメか。俺も結構見ている方だが、「アニメ見てます」アピールする人がメジャーなやつしか見てないというのはよくある話だ。松岡さんもきっとそんな感じだろう。でも、話の流れで一応聞いてみるか。
「アニメって、最近何見てるの?」
たぶん、海賊王とか、子ども探偵とかだろうな。
「最近ですか。そうですね……。知らないと思いますけど、『迷子道』とか面白いですね」
なに!? 迷子道とは最近秘かに話題になっているアニメだ。俺もまだチェックしてないやつを挙げてくるとは。何か負けた気がしたが、かろうじて知っていることを言う。
「……バンドのやつだよね」
「え、知ってるんですか?」
バンドものということしか知らないので、これ以上はごまかしきれない。正直に言おう。
「実は名前だけしか知らないんだ。見ようとは思ってるんだけど」
「是非、見てください。すごいですから」
「ネットで話題になってるのは知ってるよ。何がすごいの?」
「冒頭からいきなりバンドの解散シーンで始まるんです。そして、そのときの……」
松岡さんは迷子道の魅力を早口で語り出した。俺はついていくので必死だ。
「いやあ、松岡さんがこんなにしゃべるとは思わなかったなあ」
佐藤が驚いて言うと
「す、すみません。つい……」
と松岡さんが小さくなっている。
「京子は好きなことになるといつもこうなのよね」
中井さんが言う。松岡さん、可愛らしいな
「魅力は伝わったよ。必ず見てくるから。明日、感想言うね」
「はい、楽しみです」
俺と松岡さんに共通の話題が出来た。
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