Episode.1 捜索依頼
「ガーーーーーー」
大きな音と共に機械が倒れる。その側には老人と倒れた荷馬車がある。
「いやぁ、助かりました。最近この辺りにも機械が増えてきてて、危ないですね。」
「ああ、気をつけたほうがいいぞ。」
さっと剣をしまい、荷馬車を起こす。馬は逃げ出してしまったようだ。
「ありがとうございます。ちなみにお名前は?」
「山上 郷だ。」
最近は機械の動きが活発化してきている。中には道を遮ったり、人を襲ったりする奴もいる。
そんな奴らを駆除するのが俺の仕事、通称「機械討伐屋」だ。
「郷ちゃん。久しぶりね。今日は依頼を持ってきたの。」
「久しぶり。薫ばあちゃん。どんな依頼だ?」
「うちの店に搬入する予定だったりんごを積んだ馬車が襲われたの。」
「そうなのか。機械の種類にもよるが、りんごを取り返すのは無理かもしれないぞ。」
「いや、りんごはいいんだけど、一緒に積んでた積荷の中に王のブレスレットが入っていたらしくって。それを取り返して欲しいの。」
「王のブレスレット?」
「そう。すごい力が秘められてるんだって。引き受けてくれるわよね。」
「ああ。もちろんだ。明日また来てくれ。」
「わかったわ。よろしく頼んだわよ!」
依頼のあったのは町の東側。ゼロ平原の中央辺りだ。ここは最近機械が急激に増えてきているところでもある。
「結構きつそうだけど行くしかないか。」
身支度を整え、ゼロ平原に向かう。
「やっぱり多くなってるな。まあ一匹ずつなら余裕だけど。」
そう言いながら犬型のロボットを剣で殴る。昔は動物アレルギーの人間に飼われていたらしい。もっとも足に包丁はついていなかっただろうが。
「こんな物騒なものを飼うなんて昔の人の考えてることはわからないな。おっと一応目的地はここだよな。」
辺りを見回すと見るからに怪しい鉄の塊の下にブレスレットがあるのを見つけた。
「新種の機械か?」
そう思い、コツンと剣を当てると鉄の塊の中から鳥の形をした機械が出てきた。
「ピギャアアアアアアアアア」
「なるほど、鳥の卵ってことか。久しぶりにやばそうな奴だな。」
その機械は体長およそ3mもありさらに5mほど空中を飛んでいた。
すると急に体を縮こませ開くと同時にナイフを投げつけてきた。
「あぶね!飛んでるから倒しづらいな。このままブレスレットを取って逃げるのもいいけど、町まで付いてきたら困るからな。どうしようか。」
考えている間にもナイフは飛んでくる。
「これはダメだ。とりあえず取って逃げよう。」
相手が体を縮こませた瞬間にブレスレットを取り、ナイフを避ける。
「よし。あとは逃げるだけだな。」
その時、大きな音と共に雷が落ちてきた。
「うわ!なんだ?」
上を見上げるとそこには見たこともない大きな機械が空を飛んでいた。
この鳥の機械の親だろうか。怒った様子でこちらを見ている。
「これはいよいよまずいな。全速力で逃げないとっ!」
そう思い死に物狂いで走るが、鳥の速度には敵わない。
先ほどと同じ大きな音と共に雷が足に落ちた。
「うわぁぁぁ!ああああああああ!」
足が焼けて黒くなる。それと同時に感覚も失われていく。
「クソおおおおお!」
一か八かで剣を鳥に向かって投げるが届かない。
「せっかく店も軌道に乗ってきたっていうのに。くそ!」
大きな鳥の機械はどうやらエネルギーを溜めているようだ。
だが片足使えない状態ではどうすることもできない。
そして再び大きな音と共に雷が落ちる。
「っ………」
機械たちは満足した様子でどこかへ去っていった。
その数分後大きな光が辺りを包んだ。
「………っ生きてる?俺は死んだはずじゃ……」
ふと薫ばあちゃんの言葉を思い出しポケットに入れたペンダントを取り出してみると、赤色の装飾が青色の装飾に変わっていた。
「このペンダントには何か秘密があるのか…。まあ依頼は達成できたしとりあえず帰るか。」
そうして帰路に着いたのだった。
機械討伐屋の軌跡と末路 森林 木葉 @moribayasikonoha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。機械討伐屋の軌跡と末路の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます