第13話 おかえり
僕は苦労とは無縁のキラキラした世界で生きていた、という事だ。
僕を生んだのは現実の自分で、僕を生かしているのもそう…。
そして僕がいることによって、
それを[夢と現実のギャップ]というのだろうか、[己の力(努力)の無さ]といった方がいいのか、それとも[メンヘラ気質]という言葉で片付ければいいのかはわからない、けど
遥か遠くにいる僕との距離、近づくことができない自分を嫌悪していたのた。
それは彼が自分で自分のお株を下げる行為ではある。
コイツはほんっとどうしようもねえ奴だとも思う。
だが、だけど、、だけど喉を
今初めて自分の立場を知ったとは言えど、僕は現実世界で生きる彼の心を傷つけてきたんだ…。
…クッソ…、、、僕は幸せしかない自分の世界に疑問すら抱かずに、馬鹿みたいに夢の世界で人生ゲームをしていたというわけだクッソ…
そうして互いの世界を理解したとき、彼の、現実世界の自分の声が聞こえてきた。
「ごめんね…、君は何も悪くないんだ… 僕がね、僕がおっちょこちょいなだけで、僕がキョロキョロしてだらしないから…、だから全然君は悪くないんだ…。
それだし、、なによりもね、君がいるから僕は何事かは乗り越えようと思う気持ちになって、、、でも結構負けちゃうんだけどね…
ハハ…。
でも君のおかげで勝ち越すことだってたまにはあるんだ、4回だけしか立ち止まらなくて、6回も乗り越えられるときがあるんだよ。
不思議と我慢出来ることがあるんだよ…、
なんだかやるぞっていう感情が芽生えたりして…。…だか、だから僕のヒーロー、僕の支え、それがね…、君なんだよ…。」
話を聞きながら、僕は自分のパラレルな世界で見た微かな記憶を手繰り寄せた。
理想的な毎日の中で歩いた道、そのとき地面には姿形すら記憶にない生き物が息をしていて、そんな彼らを見向きもせず踏み潰してきていた光景が浮かぶ。
…あれは僕であり、誰かだったということか…
「僕は全然ダメな生き物で…、
この世界を創り上げている社会の中で僕は、、僕はそのみんなの意図とは関係なく生きてる生き物だから…。けどそんな僕でもね、、僕だってね…、、僕も明日の自分に憧れを持っ・・・
と、彼が話をしている途中で突如僕の視界はプツッと暗転し彼の声が聞こえなくなった。
そして同時に身体ごと上に上にと何か猛烈な渦によって引っ張られはじめた。
その突然の状況に訳が分からず、僕は真っ暗で見えない手足を抗うようにバタつかせたが、その激しい力に吸い込まれやがて意識が遠退いていってしまった。
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