第10話 おかえり
自分が望む世界が全てだったし、幸せな日々の中でしか生きてく理由なんて見つからなかった。
だけどそんな僕だって、今日を迎えるまでは様々な紆余曲折があった。
例えばそうあのと、、、、、ん??
たとえばそう、、アレだよアレ、あのぉ…ほらあのときアレだ…ん?
なんだ?
えっっとぉぉ、あんなことがなかったか?…いや、あんなことってなんだ?
…あれっ?なぜだか思いだせないな、、、
…あれなんだ??どうしてだ?僕の過去、道程が思い出せない。
えっ?!…僕はどこで産まれてどう生きてきたんだ?
両親、友達、出会った人や物、見た景色、得た知識や技術、ステータスとかが…、、あれ?
幸せボケなのかこれは?
充実し過ぎてしまって、過去のことは全部忘れちゃったのか?…
えっ…?、、というかそもそも、、…そもそも、、彼の言う通り…
もしかして、、もしかして僕は、僕は生きて…えっ、生きていな…、実在してない? のか?
……ハハハッ、そんなぁー?…ハハッ
ハハハハ…
考えれば考えるほど、僕は存在していなかった。
いや、存在はしているが、主の空想というか、虚構というか、、彼が言っていたように、理想像…に思えてきた。
とにかく僕には、覚えのある苦悩や心の傷のようなものが一切なかった。
努めて平静を装おうとするが、ほぼ事実のような現実に衝撃を覚え思考が揺れる。
すると落ち着く間もなく雪崩のようにお互いの利害関係が脳を駆け巡った。
ハハッ こりゃオモシレーや!
そーすっとだ!まるで馬の目の前にニンジンをぶら下げるように、僕は彼の視界に理想をぶら下げて、幸福をおとりに生きさせているペテン師じゃないかハハハッ!
ハハッ! そーかハハ!!……
…そうか、、、ハハ、そうなんだ……
そうか……。
僕は僕を、、、クッソ…
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