第4話 自爆

…災害に近いやん…


スコップを持って戻ると、改めてみる車の光景に気持ちが萎えた。

家からの往復で息がぜぇぜぇしているのも拍車をかける。


およそ腹~胸ある積雪を半ば逃げ腰でよじ登り、雪の上を泳ぎながら車へとラッセルしていく。


やがて車に着くと、再び諦めとヘルプが脳裏に過る。

そんな半信半疑の救出心のまま惰性で車周辺の雪をすくっては放り投げた。

掘り出していくにつれ、新雪の下層は圧雪と再凍結のサンドイッチ状態で骨がおれすぎた。


…今日で終わんないなこれ┅、明日の休日も終日これだ…


車から半径2m程をある程度除雪し終わったところで、前向き駐車していた車を進行方向に向けるべく、車に乗車する。


…クッソ狭い…


運転席から見る今しがた除雪した範囲はクソほどに狭かった。

それでも前後左右と小刻みにハンドルを切りながら車を動かしあがいてみるが、やはりうまく展開できず悪戦苦闘。


そして引き起こしたミス、、スタック...。

車(タイヤ)がハマって動かなくなった。

その事態と同じくして、お日様も地平線に帰ってしまうはめになった。


…なんのこれしきーっ!…


車体の下、タイヤの周辺、あらゆる箇所を除雪する。

が、、車体下部が突起した凍結面に引っ掛かり、タイヤも空転状態。


すると持てる考え、持てる道具としては、ジャッキアップ後タイヤ接地面の雪面を高くするしか方法がなくなってしまった。


既にその時点でかなりの運動量を費やし、疲れのピークもき始めてしまい、…助けてほしい…という甘い思いが一方的に勝利する。


悲しい気持ちのまま人や除雪車を探し家とは反対方向の道路を歩きさまよったが、日が暮れた吹雪の中誰もこんな状況で外を歩く者などいない。


しばらくして仕方なく諦め、その足でジャッキを取りに再び家まで歩き戻ることにした。


心はこの境遇と吹雪から離れようと葛藤し続けながら。


描いていた未来は、こんなはずじゃなかった…


そんな大袈裟な心境を圧倒的孤独が唱え続けていた。

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