2 多忙を極めた五日間

2-1


 観劇は夕刻からだが、ゴードンはくしゃくていから王立劇場まで馬車で二時間ほどかかるため、昼過ぎにむかえに来るとのことだった。

 早めの昼食を済ませたくを終えたミリエッタは、時間が余ったので本でも読もうかしらと書庫に向かうと、ろうを曲がったところで母と出くわした。


「ねぇミリエッタ、……お約束は確かお昼過ぎだったかしら?」


 そこには、少し困り顔の伯爵夫人。

 どうしたのだろう?

 やはりいやになって、直前にお断りのれんらくでも来たのだろうか。


「いえ、実はね……ああ、ちょうどこの窓から見えるわ。こちらに、いらっしゃい」


 手招きされて、窓から外をのぞくと、トゥーリオこうしゃく家のもんき馬車が裏門の近くにまっているのが見える。


「お時間まで、まだ一時間以上ありますが……予定より早く、とうちゃくされたのですか?」


 ミリエッタの問いに、めずらしく返答にきゅうした様子で母が声をひそめた。


「んー、それがね……あの馬車、実は朝の七時ごろからしきの近くにいるのよ」

「え? し、七時ですか!?」 


 それならばジェイドではないだろう。

 いくらなんでも早すぎる。


「でもトゥーリオ公爵家の紋がられているでしょう? もしやと思って様子をうかがっていたのだけれど」


 早朝に現れたトゥーリオ公爵家の馬車は、一定のかんかくで動き出し、グルグルと屋敷の周りを回っては停まり、またしばらくして動き出す……のかえしなのだという。

「もしかしたら、ジェイド様がお時間をちがえて、困っていらっしゃるのかもしれませんね。少し早いですが、お声がけをしてもよろしいですか?」


 なにか良からぬ者だと危ないので、念のため護衛かくにんしてもらいましょう。何事も無いといのだけれどとミリエッタはつぶやき、心配そうに窓の外へと目を向けた。



*****



「少し早めに到着したのですが、失礼かと思い、お声がけ出来ずにおりました」


『少し早め』の定義が不明だが、さわやかにほほむジェイドにそれ以上は何も言えず、「そ、そうだったのですね」と伯爵夫人が小さくうなずじょに申し付けると、とびらの開く音と共に二階の奥からミリエッタが現れた。

 けるような白いはだに、うすももいろかみとエメラルドのようなひとみ

 身にまとうドレスはあわむらさきにレースとしゅうが重ねられ、身体からだの曲線をひかえめながらもあらわにする。


「お待たせして申し訳ございませんでした。本日はおいそがしい中足労いただき、ありがとうございます」


 歩み寄るその姿に、ジェイドの目がビー玉のように丸くなる。

 ミリエッタに目がくぎけになりながら、手がすべったのか持っていた大きな花束をバサリ

ゆかに落としてしまった。


「――あの、ジェイド様?」


 それきり動かなくなったジェイドにこんわくしつつ、落ちた花束を拾ってもよいものかしゅんじゅんえんりょがちにうかがうが、答えが返ってこない。

 ミリエッタを見つめたままたましいけたようにぼんやりとくすジェイドの様子に、具合でも悪くなったのかと心配になってしまう。


「ジェイド様、どうかされましたか?」

「あ、いえ、申し訳ありません。あまりの美しさに言葉を失ってしまいました」


 声けされ、ハッと我に返ったジェイドのめ言葉に、ミリエッタはほおを染めずかしそうにうつむく。


「そ、そんな、美しいだなんて……あの、男性とのデートが初めてだったので、何を着て行こうか迷ったのですが、お気にしていただけて何よりです」

「……え? そのよそおいは、私のために?」


 再び動きを止め思わずといった様子で口元を手でおおい、耳までほんのりあかく染めうれしそうなジェイドを前に、少し迷った後ミリエッタはコクリと頷いた。


「つまり、きゅうこんを前向きにご検討いただけると……?」


 だれも一言も、そんな事は言っていない。

 思考が飛びがちなジェイドに、ミリエッタが左右にブンブンと勢いよく首をり否定すると、へにゃりとまゆじりを下げていっしゅん目をせたジェイドが、気を取り直すように口を開

いた。


「とても! とてもよくお似合いです。ふじの花のように気品あふれるやわらかな色合いのドレスがミリエッタじょうの美しさを引き立て、まるで野にりた天使のようです」

「えええ!? あああ、あり、ありがとうございますっ!」


 とつぜんスコールのようにしょうさんの言葉を浴びせられ、恥ずかしくなりたまらず一歩後退あとずさる。

 こんなへいぼんな自分を褒めちぎるジェイドにおののき、ミリエッタは助けを求めるように母へと視線を向けるが―― あ、あれ、目が合わない。


「……これはダメだ、他の男には見せられない。個室を取って正解だな」


 頰をほんのり紅く染め、訳の分からない事を呟き出したジェイドと、チラチラと視線で助けを求めるミリエッタのやり取りについにえ切れなくなったのか、プッとしたはくしゃく夫人がパチンと手を打ち、二人の間に割って入った。


「さぁさぁ、いつまでも立ち話をしていると日が暮れてしまいます! 準備が出来たのだから、楽しんでいらっしゃい!」


 おもしろ過ぎるやり取りに、もうこれ以上は見ていられないと、早々に馬車に押し込まれた二人は、予定より一時間以上も早く王都に向け出発したのである。

 ミリエッタにわたすつもりだったのだろうか。

 すっかり忘れられ床に置き去りにされたきょだいな花束。


「トゥーリオきょう……少し変わった方なのかしら?」


 二人が去った後、伯爵夫人はポツリと呟き、ミリエッタの部屋へ花をかざるよう指示を出したのであった。



*****



 さすがは公爵家の馬車。

 王都中心部まで道がそうされていることもあるが、れも最小限にとどめられ、伯爵家の馬車と比べだんちがいに快適である。


「少しお時間も早いようなので、つかえなければ、王立劇場の近くを散策しませんか?」

「あ、はい……」

 ゆうに百八十センチをえようかというきたげられたきょ、それも家族以外の男性とせまい車内に差し向かいで二人きりなど初めてである。

 身を乗り出すように話しけられるときょが縮まり、あっぱく感に身が縮こまる。


「最近出来たのですが、とても美味おいしいスイーツのお店があるんです」

「そうなんですね……」


 だめだ、全然上手うまく話せない。

 きんちょうのあまりひざの上でこぶしにぎめ、ミリエッタは落ち着きなく何度も窓の外に目を向けた。

 少しおびえた様子で、顔をこわらせていたことに気付いたのだろうか。

 程なくしてジェイドは身を乗り出すのをめ、ゆったり座席に掛け直し、一定の距離を保ちながらこわがらせないようやさしく話し掛けてくれるようになった。


「どんな花がお好きか分からなかったので、全種類の花を包んでもらいました」

「まぁ、それであんなに大きな花束に!」


 床に落とした大きな花束を思い出し、ミリエッタがクスリと笑うと、ジェイドが嬉しそに口元をほころばせた。


「ああ、やっと笑ってくれた」

「も、申し訳ございません」

「いえ、そういう意味ではなく、実は自分から女性をデートにさそうのは初めてでガラにもなく緊張してしまい、上手く話せているか心配していたのです」

「えっ? 私も……、私もです! 男性に誘われるのは初めてで緊張してしまい、折角話し掛けてくださったのに、さきほどから私のせいで会話がれてしまい、ずっと申し訳なく思っておりました」


 ジェイドも実は同じように緊張していたのだと分かり、ミリエッタがほっとして思わず胸の内を伝えると、「では同じですね」とにこやかに返してくれる。

 夜会では騎士服だったこともあり、無骨な印象を持っていたが、翌日にこんやくもうみのため領地をおとずれた姿はむしろ、洗練された貴族令息そのものであった。

 夜会の度ににらみつけられ、あまり良い印象が無かったのだが、実際に話してみると高位貴族にありがちなおうへいさもなく、よくよく観察すると少々不器用な面があるもののものごしは柔らかく、ミリエッタを尊重しようとする姿が見て取れる。


「失礼がないか心配しなければならないのは、ミリエッタ嬢ではなく、むしろ私のほうです。だん無骨な男達ばかりを相手にしていますので、知らずあつ的になり怖がらせてしまったかもしれません。もし不快に感じる事があれば遠慮なくおっしゃってください」


 その後も終始がおで話し掛けてくれ、かいえるジェイドの優しさにミリエッタの緊張感がやわらいでいく。


「本日はこうやっていっしょける機会を得る事が出来、とても光栄に思っています。夜会では何度か目が合った事もあるのですが、ご存知でしたか?」

「はい、存じております。ジェイド様にはその……あの、睨まれている気がして少し怖かったのですが」

「えっ!? が睨む!?」


 おどろいたあまり素にもどったのだろうか、『私』だったいちにんしょうが『俺』になっている。


きらわれていると思っていましたので、先日助けてくださった時は驚きました。あの時は本当に、ありがとうございました」


 改まってミリエッタが礼を述べると、驚きすぎて声も出ないのかひじを膝の上に立てるようにしてほおづえき、そのまましばらく考え込んでしまった。

 何か失礼なことを言ってしまったのだろうか。

 ゴクリとミリエッタが息をむと、ジェイドは姿勢を正し、右手を差し出した。


「ミリエッタ嬢、手をお借りしても?」


 しんけんな様子に嫌とは言えず、上向けた右手に向かいおそる恐る手をばすと、その指先にまるでこわものあつかうようしんちょうに、優しくれる。

 そっと引き寄せ、目を伏せるとそのままこうくちびるを落とした。


「~~!?」


 じっと見つめられドキドキと早まるどうおさえきれず、もしかしたらジェイドに伝わっ

てしまうのではないかと頰を上気させながら心配していると、触れていた手をはなし、かしこまって口を開いた。


「嫌うなどとは心外です。貴女あなたしたうこのおろかな騎士に、今一度チャンスをいただけますか?」

「まぁ! ジェイド様ったら、揶揄からかったんですね!?」

「あははは! いや、揶揄ったつもりはありません。そもそも睨んでなどいないし、ましてや嫌うなどもってのほかです」


 恥ずかしさのあまり上気した頰をかくすように両手で押さえ、うるんだ目でうったえるミリエッタの耳に、楽しそうな笑い声が届く。

「怖い思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした」

 夜会で睨みつけられた時がうそのように、柔らかく温かいまなしをミリエッタに向ける。

 こんなに優しくミリエッタの気持ちにってくれるジェイドに、なんだか申し訳ない事をしてしまったと自分の浅はかさを反省するばかりである。

 その後も

《遣づか》うように話し掛けてくれるその気持ちが嬉しくて、言葉を返すうちに少しずつ緊張がほぐれていった。

 程なくして目的地に到着しぎょしゃが扉を開けると、ジェイドがエスコートをしてくれる。

「少しだけ歩きますが宜しいですか? 歩きつかれたらき上げますので、いつでもお申し付けください」

 茶目っ気たっぷりの表情を見せるジェイドにつられて笑顔になり、コクリと小さく頷いた。

「遠慮は無用です。柔な鍛え方はしておりませんので、かたうででもゆうです」

「ふふ、そんなことをしたら、ジェイド様が疲れてしまいます」


 後でためしてみますかと真面目な顔でじょうだんを言いつつ、手を添えるよう早く早くとうでを差し出してくる。

 思わず吹き出したミリエッタは馬車に乗った時の緊張が噓のように消え、自然とその腕に手を添えることが出来た。


「ジェイド様は、すごいわ」


 慣れないデートにかたくなるミリエッタの緊張をほぐし、スマートにエスコートしてくれるジェイドに、かんたんの息をつく。


「実を申しますと私は背も低く、すぐ道に迷ってしまうため、人混みがあまり得意ではないのです」


 努力して出来るようになる事もあるが、如何いかんせん方向おんは直らない。


「……ですが、ジェイド様がエスコートしてくださるなら、安心ですね」


 たくましい腕に手を添え、下から見上げるように微笑むミリエッタ。

 ジェイドの身体がビクッと硬くなり、次のしゅんかん全身を真っ赤に染め、ミリエッタから顔をそむけた。

 具合でも悪いのだろうかと心配になって腕に触れる手に力をめると、何やら小刻みにふるえ始める。

 自分の発言で気分を害しおこらせてしまったのだろうかと不安になり、添えた手を引こうとした瞬間ジェイドが向き直り、かんきわまったかのように一度天をあおぐとミリエッタのりょうかたに手を置いた。


「いつでも……お望みならば、いつでもエスコートします」

「 !?   あ、ありがとうございます」


 一瞬抱きしめられるのかとかんちがいし、先程のドキドキがまたもやミリエッタをおそう。

 恥ずかしさでった身体を冷まさねばと後退ろうとしたところで、ジェイドがおもむろ

ミリエッタの手を握り締め、目的の店へととして歩き始めた。


「え、ちょ、ジェイド様!」

「ご安心ください、目的地まであと数分程度です。十メートル先に見える看板を曲がった場所にありますので、私が責任を持ってご案内します」

「いえ、そのちがくて、手が……手がッ!?」


 彼のきんに触れてしまったのだろうか。

 まるで任務にあたるように目を配りながら、優しくミリエッタの手を引くジェイドの耳に、もはや周囲の雑音は届いていないらしい。

 かくして二人は無事、スイーツの店へと辿たどいた。

 店の一階には人が溢れ、席待ちの行列が出来ている。

 二人が店に近付くとオーナーだろうか、奥から三十前後の女性が走り寄り、ジェイドと言葉をわした後、裏口から二階にある少し広めの個室へと案内される。

 一階席は多くの客でにぎわいしょみん的なふんだったが、二階は一転して品のある調度品が並べられ、スイーツ店というよりは高級レストランのようだった。


「落ち着いた雰囲気のてきなお店ですね! ジェイド様、ありがとうございます」

「喜んでいただけて何よりです。実はここ、うちが出資をしているお店なんです。二階は予約席となっていまして個室が四つあるのですが、本日は予約客がいなかったため、二階を丸ごと貸し切りにしてもらいました」


 ミリエッタから感謝の言葉をおくられ、嬉しそうなジェイドがていねいに説明をしてくれる。

 きゅうによって運ばれてきた調理ワゴンには、季節のフルーツが盛られたケーキに、シュークリーム、クッキーやチョコレート等、色とりどりのスイーツが所狭しと並べられ、目を楽しませてくれる。


「美味しそう……」


 こんなにたくさんあると迷って選べないわ、とミリエッタがなやんでいると、先程案内してくれた女性が給仕に続き入室した。


「ようこそおしくださいました。私は当店のオーナーパティシエ、マーリンと申します。

もし宜しければ、本日のおすすめ『クレープ・シュゼット』は如何いかがでしょうか」

 

 マーリンの言葉を受け、ジェイドも続けて口を開く。


「この店は『クレープ・シュゼット』が絶品です。目の前で焼いてくれるので、苦手でなければ

 二人にすすめられ、それでは折角だからと注文すると、マーリンがクレープをうすく手焼きしかたなべに入れ、他の材料と一緒に《煮に込んでいく。

 仕上げにとフランベした瞬間、ボッと音を立てて片手鍋からほのおが上がり、室内に甘い香りが立ち込めた。

 取り分けられ、フルーツを添えた皿が目の前に運ばれると、それまでマーリンの手元を楽し気に見つめていたミリエッタが、思わず「わぁっ」と小さくかんせいをあげる。

 タイミングを同じくしてティーカップに紅茶ががれ、給仕とマーリンが退室すると、「まだ熱いので、気を付けてお召し上がりください」とジェイドが優しく声を掛けた。

 ソースをたっぷり付けてほおると、オレンジの良い香りがこうこう内から鼻腔をつく。

 焼き立てのもちもちした生地の美味しさに、ミリエッタはとろけるような笑顔をジェイドへ向けた。


「美味しい! こんなに美味しい『クレープ・シュゼット』は初めてです。素敵なお店に連れて来てくださり、ありがとうございます!」

 頰に手を当て喜ぶ姿に、ジェイドも嬉しそうに相好をくずす。

 けんダコだらけの指からは想像が出来ないほどゆうに切り分け、ミリエッタが口に運ぶタイミングに合わせて、彼もまた自身の口へと運んでいく。

 少しきゅうけいをしようと手元のティーカップをかたむけたミリエッタは、一口飲んで驚いたように目をみはった。


「……ッ! こちらのお店は、ずいぶんと珍しい茶葉を扱っていらっしゃるのですね」


 爽やかな香りの中に、ほんのりとした甘み。

 わずかなしぶみが口内に広がり、甘くなった舌を中和する。


「つい先日、ドラグム商会が珍しくゴードン伯爵領を訪れまして」


 四大公爵家の一つ、オラロフ公爵家が運営するドラグム商会。

 大陸をまたぎ各国の珍しい特産品を扱っているのだが、ぜいたく品が多いため、質素けんやくをモットーとするゴードン伯爵領へはめっに立ち寄らない。

 ところがつい先日、珍しい茶葉が手に入ったから是非にと訪れ、ミリエッタも同席し、いくつか試飲をさせてもらった。

 その中で数点、気に入ったものをこうにゅうしたのだが、先程口にした紅茶はその中の一つである。


「品質も良く、お値段もごろだったため購入したのですが……まさかここで飲めるとは、思いもよりませんでした」

「それは、ぐうぜんですね。公爵家でも好評だったので、まとまった量を購入し、店におろしたところです。こちらの茶葉は高地でまれるのですが、標高で味が変わるそうですよ」


 ジェイドが解説をすると、ミリエッタがキラキラと目をかがやかせ、あめいろの液体を再度口に運ぶ。


「とてもおくわしいのですね! こちらは恐らく標高二千メートル帯で摘まれた物かしら」

「はい、仰る通りです」


 気のせいだろうか、心なしかジェイドの頰が少し強張った。


「お薦めいただいたスイーツとのあいしょうらしいです」

「……そうですね」


 ああ、他にはどんなスイーツが合うかしら。

 その場合は、あれとこれと……。

 スイーツと紅茶のマリアージュを、夢中で語り始めたミリエッタだったが、ふと顔を上げ、ジェイドを真正面から見つめた。


「一番摘みですと、どのスイーツが合うと思われますか?」


 ワゴンに並べられたスイーツを、ミリエッタはうっとりと思い出す。


「ああでも、渋みが強いから、ミルクティーのほうが良いかもしれないわ。ジェイド様はいかがですか?」


 まさか紅茶談議に花をかせられるご令息がいるとは!

 予想外に博学なジェイドに嬉しくなったミリエッタは、次から次へとつぎばやに質問を投げかける。

 もはやデートであることをすっかり忘れ、仲のよい友人とお茶をしているような心持ちのミリエッタ。


「もし宜しければ、先程のオーナーパティシエをお呼びしましょう。彼女であれば、きっと満足のいく提案をしてくれるはずです」


 ミリエッタの楽し気な姿を嬉しそうに見つめながら、ジェイドはテーブル上のりんかろやかに鳴らしたのである。

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