第10話

まず何から始めるのがいいかな。

 カメラの勉強は雑誌とか動画である程

は学べる気がするから、そこから始めてみるのが良いかな。


 何か教室に通うのも良いのかもしれないけど、今はそんなお金もないからまずは簡単に出来ることから始めてみよう。


 次の日になって大学終わりに楓と2人で本屋へ行った。大きなデパートの中にある本屋で色々なジャンルの本が並んでいた。


 「なんの本買うの?」


 「カメラの本が欲しいんだよね、祐美の写真撮った時にもっと上手になりたいって思っちゃった」


 「いいね、私もカメラ欲しいなー」


 そんなやりとりをしながら何冊か手に取ってページをめくる。どの本もおすすめの機種の紹介やすでに知っているF値や絞りについてが書かれた入門書のようなものばかりだった。


 もちろん中には、本格的な内容が書かれたものも置いていて勉強になるなと思いつつ、どこか求めているものとは違う気がしていた。


 「今度さ3人で旅行行きたいよねー」

楓が旅行雑誌を手に取りながらそう声をかける。


 「なんとしても行きたいよね、今度みんなで作戦会議しよ」


 そう話をしながら私は本格的なカメラの雑誌を一冊だけ購入した。


 2人でデパートの中のカフェへ向かって歩く、それぞれ注文を済ませて丸いテーブル席につく。


 「楓は旅行行くならどこ行きたい?」


 「うーんやっぱ沖縄かなーあかりはー?」


 「私はね四国に行きたいかな下灘駅行ってみたい」


 「そこ知ってる、海のとこだよね」


 ネットで検索をしながらここも良いねあそこも良いねと色々な候補を出しては新しい候補をまた出すを繰り返す。


 結局2人では決まらず、祐美の勢いの良さに任せようということで落ち着いた。


 次の日の昼休みに3人で集まって作戦会議をする。あらかじめ祐美にはいくつかの候補を伝えておいたからすぐに決まるとは思っていた。


 「祐美、ここがいいとかある?」


 「ヴェネツィア」


 まさかの海外だった。


 私も考えなかったわけではないけど卒業旅行でもないしと思って口にはしていなかった。

 躊躇いなく口にするあたりさすがは祐美だなと思いながら楓を見ると楓は呆気に取られていた。


 「やっぱり行くなら思い切って海外でしょ」


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る