ep.3 令嬢主催会議 Ⅲ

「この配置が?」

げんのすけは辺りを見回した。

変哲のない配置のようだったが、凝視をしてみることなど一度もなかった。


「それと部屋の隅の本棚に花瓶が置いてあるわよね?

あの水が換えられたことはある?

それを見たことがあるかしら?

でも花は枯れないままなの。

造花でもないのよ。」


「どういうことなの?」

Haruの頭に予感がよぎった。

「その花瓶の中には…」


「秘密裏に連絡を取ってるのよ。

脱獄をしたくてね。」


モモカが足を畳んでダージリン・ティー500mlのボトルを一気に飲んだ。


「誰がそんなことを?すごい勇気だわ。その人…ふふ」

あゆりの視線の先にはモモカが居た。


こうしてモモカは連絡手段を仄めかした。


「モモカさんの連絡を待ってる人って誰なの?」

Haruはうずうずして訊いた。


「チュッパさんの他に誰が居るのよ?

だから私、Haruさんが見たのがチュッパさんだって知っているのよ。"本人"から聞いたからよ。

花瓶の中の手紙はゆずさんが運んでくれるのよ。郵便屋さんね」


ぼうっと天井を見つめているような監視員の一人が、今は集団に向けてウインクしていた。

彼が"ゆず"「郵便屋さん」


続く

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