第5話初めて(このアカウントで)の配信

 あの配信に出演した日から一週間が経過した。あの後家に帰って作ったアカウントを確認したが既に5桁以上の登録者、フォロワーがいた。今では6桁に届きそうな勢いだ。そのことに軽く恐怖しつつも今日は配信することになっているので家のタンスの肥やしになっていた昔のドローンを取り出す。


「コイツを使うのも随分久しぶりだな」


 そのドローンの動作確認をする。一応昔のやつとはいえ昔においては最高の性能をしていたので問題はないはずだ。予想通り問題なく動作することを確認した。

 もしここで動かなかったら配信は延期することになっていたであろう。

 そして動作確認やらその他もろもろの準備が終わった俺はいつも攻略しているダンジョンにいつもとは違うものを持って足を踏み入れた。

 今日の配信では上層から下層までのところも見たいということらしいので上層から配信を開始する予定だ。


「にしてもいつもはすぐに上層とかは抜けるからこういう光景を見るのは本当に久しぶりだな」


 周りを見ると初心者らしき人がそこら中にいた。中には俺と同じようにドローンをいじっている人もいた。その人たちの邪魔にならないように入り口からは距離を離し近くに人がいないことを確認してから配信を開始した。


「どうも告知通りに配信を始めたクロです」

コメント

>コイツが今話題のやつ?

>興味本位で来ました

>初見です


「現在上層でいつもどんな感じでダンジョンに潜っているかを配信していきます。よろしくお願いします」

コメント

>普通に礼儀正しくて好印象

>上層からね了解


「じゃあ始めていきますねって、、ファッ」

コメント

>どうした?

>何に驚いているの?

>ああ、そういうことか


「いや、、なんか同接が、、なんか数万に、、」

>草

>驚いてるのかわよ


「緊張しちゃいそうなので同接を見ないようにしますね」

>草

>出来るかなぁ?


 ちょっとグダりつつも開始を宣言すると俺はまずは上層の最終ボスへと向けて足を進めるのであった。


「ま、まずは階層ボスを倒しに行きますね」


 ちなみに階層ボスは5階ごとに一体出現する。そして下の層に行くにはこの階層ボスを三体倒してその後その階層ボスよりも強いその層をラスボス的なやつを倒せばここ上層から中層に行ける。


「ちなみにルートはいつもここに来ているのでわかります」

コメント

>まさかの通い詰め

>いつもここなの?

>いつも来てるんか


 ダンジョン内で地形が変化することはほとんどない。なのでいつも通い詰めている俺は迷うことなく下の階へと歩を進められる。

 そして俺は今こんな感じで喋りながらゆっくり歩いているのでそこら辺からモンスターが攻撃して来るのだがその攻撃は全て弾かれる。その様子を見ていたモンスターは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。


コメント

>攻撃弾かれてて笑ったww

>モンスター逃げていくのおもろいな

>とんでもない安心感


 上層のモンスターは特に稼げないしダメージも食らわないので無視しながら下の階に降りているともう5階分降りていたようで大きな扉の前に立っていた。


「あれ?もう着いたんですか」

コメント

>雑談しながらもう5階に着いたのか

>ボス戦ですね

>心配はしてないけど


「じゃあパッパと倒しますね」


 そうして大きな扉を開けると中にはゴブリンの上位種ゴブリンジェネラルがいた。

 そいつに歩いて近づき首を手刀で横に振り抜く、するとジェネラルの背後に階段が現れた。


「じゃあ次行きますか」

コメント

>もはや流れ作業

>一切移動が減速してなくて草

>歩きながら殺してるんか

>てかいつ手を振った?


 それからもただ歩いているだけでまた扉の前に来ていた。


「やっぱデジャヴを感じますね」

>なんも変化してないもんな

>またただ歩いていただけ


 扉を開けるとゴブリンキングが居た。さっきのジェネラルよりも二回りほど大きく体つきもがっしりしている。そいつに(以下略


「はいはい次々」

コメント

>www

>全く同じ光景

>なんの変化も見られないww

>やっぱ手は見えないなーちょっと動いてるのはわかるんだが


 次はコボルトキングだった。しかし先ほどとあまり変わらず(以下略、としようと思ったがそれだと同じ画しか取れないので今度は魔法で倒すことにした。


「せっかくなので魔法を見せようと思います」

コメント

>お、楽しみ

>どんな魔法使えるの?


「『ファイアランス』」


 魔法名を唱えると背後に一本の槍のような形状の炎が出現した。その炎の槍はコボルトキングの心臓部分目掛けて飛んで行き命中、そこから炎は広がり塵一つ残さずコボルトキングは消滅した。


「こんな感じですね」

コメント

>魔法もスゲーな

>やっぱ魔法ってかっこいいなー

>塵も残ってないのヤバ


「じゃあ最後の層ボス行きますか」


 雑談もしながら15分後、中層へと向かうためのボス部屋を発見した。


「ここが終わったら次は中層ですね」

>雑談しながら歩いてるのになんでこんな早いの?

>停止の時間が一切ないからな

>安定してるなー


 そして扉を開けると、、、


「よく来たな!俺の名前はレオンだ!」


 なんとライオンフェイスで全身ムキムキの変態モンスターがいた。


「???」

コメント

>人語をなんで喋ってるん?

>いや確かにそういう事例はあるけどさなんで上層で、、?

>イレギュラーやん

>いやいや上層ボスでネームドはやばいって!


「おかしいですね今までこんなボスが上層にいたことないんですが?」

「ハッハー!!!早速命をいただくぞ!!」


 困惑しているとライオンフェイスはあっという間に眼前に移動してきていて下からアッパーをしてきていた。


「アブねぇなぁ!」

>攻撃避けるの?!

>それ結構やばい?


 流石に魔力の強化がない状態でのあの攻撃は痛そうだったので避けた。


「しかし上層にこんなのがいるなんて」

「今のを避けるか、面白い!」


 今度は正面から殴りかかってきたので避けながらカウンターで蹴り飛ばす。体制が少し不安定だったので倒すことはできなかったがかなりの距離を吹っ飛ばせた。


「いくら魔力の身体強化なしでも今の一撃耐えるのはやっぱ人語を話せる魔物だからなのかな?」

「やはりお前は面白い!」

「うーんそうだな最近あまり使ってなかったし一回魔法主体で戦ってみますね」

コメント

>え!?肉弾戦じゃないの?!

>大丈夫?それ

>無理そうだったらやめてね


「大丈夫ですよ。一応魔法もかなり出来るので、今回は魔法の慣らしみたいな物なので」

「おい!貴様さっきから何と話している!気でも狂ったか!?」

「いや、何でもない、後お前にだけは気が狂ってるだなんて言われたくないな」

コメント

>そりゃそうだ

>全身裸のライオンフェイスには


「そうか、、、ならばもう続きを始めるぞ!」

「どうぞご勝手に、、、『オリジン』」


 その魔法を発動すると背後に15mはあるだろうか巨大な魔法陣が生成された。その魔法陣からは、無数の小さな魔法陣が更に生成されていき一瞬にして周りを埋め尽くした。


コメント

>綺麗だな、、、

>初めて見る魔法なんだけど

>迫力がすごい


「お前、魔術師だったのか?」

「まあそうでもあるな」

「ならば近づいて潰すまで!」


 その小さな魔法陣からは様々な魔法が出現した。先ほど使用した炎の槍や上から降ってくる雷に土の壁とそこから使用できる魔法をノータイムで使用していく。


「この魔法は後ろの魔法陣が存在する限り詠唱なしで魔法を発動しまくれるという魔法なんですよね。だから物量だけならこれを上回る魔法はないんですけど問題点が一つあって、、」

「さっきから魔法の量は確かにすごいが、一つ一つの質はお粗末だなぁ!」

「まあそういうことです。でもまあ対策法は組み込んでいるのでご安心を」

コメント

>でも俺にはその魔法攻撃の一個一個がさっきのファイアランスレベルに見えるんですが、、、

>高レベルの戦いに魔法の性能が追いついてないってこと?


「『獣王の圧』これでお前の魔法は防御せずとも突破できるわ!」

「わーお」


 そのスキルを発動するとライオンフェイスの全身が光りだしその体に向った俺の魔法はダメージを与える前に逸れて背後に移動した。


「これでお前の魔法は俺に当たる前に逸れる!」

「だから真正面から単調に向かってきてるのか?」

コメント

>どうすんの!?

>魔法効かなくなってるよ!

>対策って何?


「まあ正面から来てくれるのなら楽なんだけど」

「これで終わりだ!!」


 そしてライオンフェイスはすさまじいスピードで俺の正面へと接近してくる。


「『魔法陣収束』」


 さっきまで大きく展開されていた巨大な魔法陣はわずか直径3cmほどの大きさとなり俺の指先に現れる。そこから直径50cmほどの真っ白なビームが放たれた。


「は?なんだそr」

「はい、終わり」


 それをくらったライオンフェイスは下半身を残して倒れた。


「はい、これが対策法です」

コメント

>、、、

>はい、、、

>エグ、、、

>てかなんでそのオリジンっていう魔法を雑魚モンスターに使わないの?


「なんで雑魚モンスターに使わないかですけど、素材を消しちゃうことがあるのと周りの探索者に迷惑がかかるからですかね、だからボス部屋でしかも偶にしか使わないです」

コメント

>なるほどなぁ

>あの喋れるやつ最後呆けてたよ、、


「ちなみに今日はとりあえず下層まで行きますね」

>おk

>はーい


 それからは特に問題なく中層のボスたちを倒していき1時間程で下層についた。雑談しながらで歩いていたから思っていたよりもかかってしまった。


「とりあえず下層に着いたわけですが、、、どうします?」

コメント

>ドユコト?

>どうするって何を?

>説明plz


「ああ、深層に向かうかどうかです。今回はイレギュラーもありましたからね」


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あとがき

ここまで読んでくださりありがとうございました!!

裏情報ですがこの時点での同接は10万程です。理由としてはあのイレギュラーで一気に増えました。そしてまだ半信半疑でMから来た人などもいます。同接も多いのでフェイクだと断定できずに見守っている感じです。

そして1万PVありがとうございます!僅か一か月でここまで来れるとは思いませんでした。フォローも550人、星も200個と本当にありがとうございます!これからも不定期気味ではありますが頑張っていくので温かい目で読んでくださるとうれしいです!

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