第4話配信に出ることになった(改)

 そしてそれから半月後


「予想通り金がなくなった」


 黒はこの前稼いだ金をソシャゲへの課金とスパチャでたった2週間でなくしてしまったのである。


「めんどいけどダンジョン行きますかねー」


 それからすぐさま諸々の支度をしてダンジョンへと向かうのであった。


「さてさて今日はもう来月分まで稼ぎますかねー」


 流石にもう一回二週間後に来るのは勘弁願いたかったので今回で次の月分まで稼ぐことにしたのであった。


「とりあえず下層以外は稼ぎが悪いからいつも通り速攻で移動しないとなー。早く帰らないと家でゴロゴロできなくなる」


 それから15分程で下層の入り口に到着することが出来た。


「うっし到着出来たしパッパと狩っていきますかね」


 それから素材が高く売れるやつにだけ狙いを付け狩っていく。


「下層ぐらいなら頭部分を軽くぶつだけで頭が弾け飛ぶから効率よくて楽なんだよなー」


 そうして1時間ぐらいすると一か月分くらいの金になる素材を集めることに成功した。そしてその素材はアイテムボックスに突っ込んでいく。


「あと半月分ですかね。いつもはここで終わりだけど今日はもうちょい頑張りますか!」


 そう言葉をついて休憩に使っていた岩から腰を離す。そしてまた狩りを始めようとすると


「あのーすみませーん」


 女の子の声が聞こえてきた。


「俺のことですか?」

「はい。そうです」

「俺に何か用ですか?」

「あの、、これ」

「え?これって、、」


 そうして女の子が渡してきたのは前回置いていってしまったリッパーカマキリの素材とお金だった。


「あ!もしかしてこの前助けた子ですか?」

「覚えていてくれたんですね!」

「わざわざありがとうございます。そしてこのお金は?」

「これはこの前のポーションのお金です」

「ポーションくらいなら別に大丈夫ですが、、」

「いえ、、流石にこれくらいは渡さないと、、」

「なんか色々とありがとうございます。それじゃ俺はもうちょっとだけ狩ってから帰るので」


 先ほどもらったカマキリの素材で目標金額はだいぶ近くなっていたので本当に後数体倒せば帰れるところまで来ていた。


「あの!」

「今度はどうしたんですか?」

「もしよければなんですが、、私の配信に出てくれないですか?」

「配信?」

「はい。実はこの前助けていただいた時にも配信をしておりまして、それであの男はどんな奴なんだとネットで話題になっておりまして」

「それで俺に配信に出てほしいということですか?」

「はい!そうなんです!」

「別に帰る前のちょっとだけなら別に良いですよ」

「ありがとうございます!」

「そういえばあなたの事配信者で見覚えがあるような、、、」

「私のこと知っているんですか?」

「、、、ああ!思い出した!推しのダンジョン配信者のあの人と一緒にコラボしてた子だ!」

「ああ、、コラボ先でしたか、、」

「なんか、、すみません」

「いや、大丈夫です。それで出演はしてくれるということで良いですか?」

「大丈夫ですよ」

「あ、なんて呼べばいいですか?」

「ああーじゃあクロでお願いします」

「分かりました。じゃあ早速今から始めますね。後何個か質問もすると思うので答えられたら」

「分かりました」


 そして俺が木陰に一旦隠れると目の前の女の子はスマホをとドローンをいじり開始の挨拶らしき物を始めた。


「どうもみなさん高天です」

コメント

>割といきなりだね

>何かあったの

>どうしたの?


「この前助けてもらった男の人、クロさんに遭えたので今回は色々質問などをしていきたいと思っています。ちなみにちゃんとポーション代や素材は返しました」

コメント

>把握

>あれそして男の人は?

>見えないけど


「来ていいですよー」

「あ、はい。どうも呼ばれましたクロです」

コメント

>結構イケメンですね

>この前はありがとうございました!

>ポーションまでいただいて、、


「それでここからはどうするんですか?」

「ああ、それならとりあえずちょっとモンスターを狩る様子を見せてくれませんか?」

「分かりました」

コメント

>楽しみー

>なんか前回はいきなり目の前のモンスターが死んだからな

>てことは下層のモンスターも?


「お、早速ブラックハウンドが来ましたね」


 そうして目の前に現れたのは全身が黒い毛並みで覆われた狼であった。

 そうして呑気に突っ立っていると案の定噛みついてきた。しかし


ガキンッ


 とそんな音を立てて狼の歯が砕けた。そんな隙を晒した狼に対して俺は頭の部分を少し力を入れて握る。すると狼の頭の部分は魔素になって散っていった。


「ふう。こんなもんですかね」

「、、、、、、」

コメント

>、、、

>、、、

>はい?

>ヒエッ


「皆さんどうかしましたか?」

「なんでモンスターの方の歯が砕けたり頭が握りつぶされたりされるんですかね」

「いやいや下層のモンスターならこんなもんですって」

コメント

>いくら下層の中でも耐久力が低いからって

>それでも攻撃力は高いハズなんですよ

>人外かな?


「次はブラスタータートルですか」


 狼の次は背中に巨大な砲台を背負った5m級の亀が出てきた。そしてこちらを見るや否やその砲台にエネルギーが収束していく。そのエネルギーは俺に向かって一直線に放たれた。

 それを俺は片手を広げて受け止める。


「だからそれぐらいの火力なら大丈夫かな」


 その亀は砲撃を防がれたと認識するとすぐさま甲羅の中に閉じこもってしまった。

 俺はその甲羅を真上から拳を振り下ろすことであっさり砕く。亀はあっけなく消えていった。


「お!レアドロップ!」

「もうツッコミどころが、、」

コメント

>俺らもよくわからん

>レアドロップに顔をキラキラさせてて草

>ビームを素手で防いだりあの亀の甲羅を素手で砕いたりもうめちゃくちゃだな

>上位陣は誰もかれもこんななのか?


「クロさんここからは質問をしても良いですか?」

「全然大丈夫ですよ」

「じゃあコメントの皆さんどんなことを質問したいですか?」

コメント

>どんなスキルを持っているのか

>普段どこまで潜ってるのか

>年齢

>今何レベルなのか

>今後配信などをする予定はあるのか

>普段どんなことをしているのか


「じゃあ聞いていきますね」

「はい」

「まずどんなスキルを持っているんですか?」

「えーとですね言っても支障がない範囲だと、まずユニークスキルが『尽きることのない魔力』、で通常スキルが『魔力操作』『魔力変質』『魔力探知』ぐらいですかね」

「魔法タイプだったんですね」

「いや、、、戦闘スタイルは魔法あまり使わないんですよね」

「え、魔法使わないんですか!?」

コメント

>ユニーク強っ

>単純に強いなそれ

>あれだけのことをしといてユニークが魔力系ってマ?

>でも戦闘スタイルは魔法じゃない?


「戦闘スタイルは魔力による自己強化のゴリ押しです」

「マジですか」

「はい割と魔法で攻撃するよりこっちの方が楽ですね。でも遠距離攻撃が目的で使うことは偶にありますね」

「そうなんですね」

「なので俺はゴリゴリの近接型ですね」

「じゃあ次の質問普段どこまで潜ってるんですか?」

「下層までですかね」

「下層までなんですか?」

「はい。ここが一番楽に稼げますからね」

「じゃあどこまで潜れるんですか? 」

「うーんとりあえず深層は絶対に行けますね」

「まあそりゃそうですか」

「まあでもその下の深域でも今の時点で絶対に行けると思います」

「深域まで行けるんですか、、」

「割と強化の暴力でなんとかなりますね」

コメント

>深域行けるってマ?

>流石に嘘だと思うが

>でも深層のモンスターがあれだもんな


「年齢は?」

「25歳ですね」

コメント

>え!若っ

>そんな低いんだ、、


「えっとじゃあレベルは今何ですか?」

「多分6000ぐらいにはなってるんじゃないですかね?」

「私今400ぐらいなのに、、、」

コメント

>当たり前のように四桁

>詳しく覚えてないの草

>でも否定できない

>あんなん見せられたらな


「下層ボスの適正レベルは1000ですから頑張ってくださいね!」

「はいこれからも頑張ります!」

「これで終わりですか?」

「いえ、最後に一つだけ」

「分かりました」

「それでその質問は今後配信をする予定はあるのかです」

「ああ配信はするのかですかー。今んとこ予定はないですけど。それに配信に関しては昔一応してはいたんですよね。まあ人気が出なくてすぐにやめてしまいましたけど」

コメント

>昔やってたんだ

>なんの配信してたの?

>まああるあるだな

>えー予定無いのー?

>できればやってほしいかも


「どんなことをしてたのかについては予想がつくと思いますがダンジョン配信をしていたんですよね。一応やる予定がない理由についても聞きます?長くなりますけど」

「もちろんです」

コメント

>まあそりゃそうだろうな

>でまあ人気が出なかった理由も想像がつく

>多分フェイク認定でもされたのかな?

>聞かせてほしいな

>気になる


「じゃあ話しますね。まあコメントの言う通りの理由で人気が出なかったもんで同接は常に0、偶に1人来ても『フェイク乙』『こんなことして何が楽しいの?』『こんな配信してなんの意味があるの?』『もうちょっと現実味持たせろよ』って言われ続けましてね。

 それでもいつか報われるかもしれない、人気になれる時が来るかもしれないと思い続けていました。先ほどはすぐにやめたと言いましたが実際は1年間は続けていたんですよね。

 今考えるとバカでした最初はとにかく下の方の階層を配信すれば人気が出るだろうという安直な考えでした。しかし続けていくうちに少しずつ気付いたんですよ何せそもそも配信に来る人が少なかったもんでそもそも信じられてないって言われてるのに気付いたのは初めてから3ヶ月経った頃でした。

 それに気付いてからは上の層で配信して信頼を獲得しようとしました。だけど上層でも俺の映像はまだ信じられないような物だったそうで、当時俺はこれでも何故フェイク扱いされるんだろうと思いつつも上層での配信を続けていたんですよ。

 それでも何も改善されなかった。そこからは誹謗中傷や一向に上がらない数字ばかり気にして上層じゃあ何かが足りないと俺は思い始めた。そこで当時の俺はもっと深く、さらに深くと潜り始めたんですよね。

 いつかどこかで信じてもらえるんじゃないかって、信じられなくとも派手であれば誰かしらが見てくれるんじゃないかって。

 結局そんなことはありませんでした。どんなリアリティがあって派手でも『嘘つき』というレッテルが張られている時点で誰もかれも罵倒だけを残して俺の配信から去っていきました。

 そんなことにも気付かず俺はひたすらに下に潜り続けました。ただ俺が深くに潜り始めた時はまだ今ほど実力がなく危険だったんですがそれでもずっと下に向かい続けました。それが元となって今ぐらいの強さになったんですが、、、

 そして最後にこれが配信をやめるきっかけになったんですがとあるボスを相手に死にかけるレベルでギッリギリで勝利したんですけどそれすら認められなかったんですよね。それがきっかけとなって1年近く続けていた配信をやめたんですよ。

 長くなって申し訳ないですけどそれが配信をやめた理由と今後あまり配信をする予定が無い理由です」

「、、、」

コメント

>思ってたより辛そうだった

>でも今は俺らは認めてるぞ!

>やめるのも納得の理由

>頑張ってきてたんだな


「、、、クロさんはまだ配信に少しでも未練とかはあるんですか?」

「無いと言ったら嘘になると思います。でもうまく配信できるような未来が想像出来ない、それが配信をやらない一番の理由になると思います」

「じゃ、じゃあ今回の配信やってみてどうでしたか?」

「それは、楽しかったですし皆さん親切でした」

「そうです。もうあなたをフェイク扱いする人はほとんどいないんですよ!」

「そうだと良いですけどね、、、」

「確かにまだあなたの事を疑う人はいると思います。でももう前みたいに罵倒だけしていなくなるような人はいないんですよ!だからもう一回だけやってみませんか?きっと楽しいですよ!それにまだ未練があるんですよね?」

「まあそうですが、、、」

「ならやってみましょうよ!やらない後悔よりやる後悔今なら少しですがサポートしますよ?」


 そういって高天さんは満面の笑みを顔に浮かべた。

 それを見て俺は、、、


「、、、分かりました!いつまで続くかも分からないですけど最後に一回だけ挑戦してみます!」

「よく言ってくれました!」

コメント

>よく決断した!

>俺たちは楽しみに待ってるぜ!

>もう前みたいにはならないと思うよ

>せっかくそんなに人気になれる素養を持ってるんだから

>これからよろしくな!


 コメントの人達もすごく温かく歓迎してくれた。それを見ているとさっきまでの漠然とした不安は薄れて行くのであった。

 それからは次の配信の準備などを高天さんに手伝ってもらいながら進めていった。

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あとがき

ここまで読んでくださりありがとうございました!!

まずこの小説のフォロー300人ありがとうございます!そしてジャンル別今週のランキングでは49位と高順位を取れました!!本当にありがとうごさいます!

それと別で一話のカマキリの描画を変更いたしました。500m先にいる人ほどの大きさのカマキリでした。500mほどの大きさは大きすぎました。

ちなみに補足ですがダンジョンの深さでは上から

上層、中層、下層、深層、深域、深界、神界

の順となっておりもちろん下に行くほど難しくなります。そして神界まであるダンジョンは数が少なく世界でも7つほどしかないです。

補足でした。

3/25かなり大幅変更を入れました。前に比べたらマシな話の進め方になったと思います。そして主人公のセリフが長くなってしまったなぁと思いました。

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