第23話 調査員

 ダンジョン調査員。文字通り、ダンジョンがどんなダンジョンか等を、調査する人である。

 ぼくのダンジョンもこの人達が人工ダンジョンだと見抜いたのだったか。

 確か新聞でそう読んだ。


「お疲れのところ、非常に申し訳ない。先日見つかったダンジョンの件で、話を聞かせてもらえないかな?」


 玄関前に立っていた調査員が、出てきたぼくの顔を見て言った。

 彼の後ろには、もうひとり、調査員がいて、2人組であることが分かった。


「良いですよ」


「ありがとう。といっても簡単な確認だけなんだがね。詳しいことはまた後日、聞かせてもらうとして、まず、あのダンジョンを見つけたときのことを教えてもらえるかな」


 それからぼくは、匿名の手紙のことから、ザックさん達と撤退を決めたところまでの話をした。

 もちろん、ぼくがダンジョンマスターということは伏せてである。


「概ね、ザックさんたちとの話とも一致するね。ありがとう」


「いえ」

 ぼくはこの局面を乗り切ったと感じた。

 調査局の方は、別にぼくのことを疑っているわけではないようである。


 あくまで、第1発見者に話を聞きに来た。

 それだけのようだ。


 もう帰ってほしかったが、不意に長身の方の調査員がぼくに言った。

「合宿帰り?」

 ぼくの部屋に散らかっている、遠征合宿の荷物を見て言ったのだろう。


「ええ。そうです」


「そうか。懐かしいなあ。...実はぼくもキシャーレダンジョンスクール卒でね。ぼくも1年生の頃、行ったよ」


「そうなんですか」


「うん。疲れているところ悪かったね。また、話を聞かせてもらうこともあるだろうから、その時はよろしく」


 そう言って、彼らは帰っていった。

 ぼくの早く帰ってほしいオーラが伝わってしまったのかもしれない。


 少しまずかったか?


 ぼくはそんなことを思いながら、荷物の片付けを再開するのだった。


 ーーーーーー

 調査員side


「質問、あれだけでよかったんですか?」

 痩せ気味の調査員が、長身の調査員に聞いた。


「ああ。彼も遠征帰りで疲れてるんだ。あんまり聞いても悪いだろう?...それに、ザックさん達にも話を聞いたし、それで充分じゃないか」


「しかし何か問題があれば...」


「何か問題があれば、またその時に話を聞きに来ればいい。そうだろ?」


 どうやらこの調査員、自分と同じ学校出身の後輩に甘いようだ。


 痩せ気味の調査員はそう思ったが、かといってめんどくさいので、仕事を増やすようなことはせず、長身の調査員に従うのだった。

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