第22話 本屋
残りの3日間。
ぼく達は課題をクリアしたので、自由時間だ。
ぼくは街の本屋に、ダンジョンマスターになる方法に関する本はないか、探しに来ていた。
ダンジョン関連の本のエリアを見ていると、ここはハチミツや岩塩に関する本が多い。
ハニーベアダンジョンの近くだからだろう。
ハチミツの美容、という本とか、ハチミツレシピとかの本がある。
そして、ダンジョンマスターになる方法に関する本は、やはりなさそうだった。
ーーーー
そうして本を見ていると、
店員さんに話しかけられる。
「なにかお探しですか?」
「いえ。何か面白い本がないかな、と思いまして」
「それでしたら、これなんてどうでしょう?」
「『俺のダンジョン生活』?」
「はい。ひょんなことから、ダンジョン内で生活することになってしまった男性の話です」
「うーん、どうだろう。検討してみます」
「はい。何か質問などありましたら、お気軽に話しかけてください」
「どうも」
物語系の本か...。ノーマークだったが、ダンジョンマスターになる話とかあるかもしれない。見てみてもいいかも。
ーーー
物語系のみならず、色んな本をぶらぶらと見ていると、リュートに会った。
手には『ゴーレムの倒し方』という本を持っている。
「やあ。カナタ。こんなところで奇遇だね」
「おお。リュート」
それから、課題をクリアしたことなど、近況を少し話す。
「え!?カナタ達はもうクリアしたの?」
「ああ。昨日何とか、クリアした」
「そっか。やっぱりカナタ達はすごいな」
「そんなことないよ」
「いやいや。ぼくは苦戦していてね。クリアできるかどうか...」
話を聞いてみると、リュートは魔法の効かない、ゴーレムに苦戦しているらしい。
「ぼくって魔法が使えないと何も出来ないと実感したよ」
「魔法が使えたら十分だよ。ぼくだってハンマーを振り回す以外は何も出来ない」
「そうかな?」
「そうさ」
そんなことを話していると、向こうの棚に先生がいるのが見えた。
「うげ。先生だ」
ぼくらは見つからないようにそーっと外に出る。
別に先生が嫌いなわけではないのだが、やはり学校の外で見ると何となく避けてしまう。
それから後、リュートと別れた。
「ありがとう。励みになったよ。」とのことだった。
別にそれほど良いことは言っていないので、社交辞令かもしれないが、少しでも励ましになれたのなら、よかったと思う。
ーーーーーーーーーーーーー
それから2日経ち、一週間という長きに渡る遠征合宿も終わりを迎えた。
ぼくは自分の家に帰ってきていた。
リュートは仲間の協力で、無事にゴーレムを倒せたらしい。
どうやらギリギリだったらしく、帰りのバスではずっと寝ていた。
それとは反対に、ぼくは3日間ホテルでゆっくり過ごしたので、元気いっぱいである。
今日からまたダンジョンマスターになるために頑張ろう!
ぼくがアパートに帰ってきて、旅行カバンから洗濯物などを取り出していると、チャイムが鳴った。
「はーい」
ぼくがドアを開けるとそこには、ダンジョン調査員の格好をした男が2人、立っていた。
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