第5話 家具購入の一幕

 食器や服など、生活必需品と、教科書などを買った後、


 学校から遠いアパートにしたことで浮いたお金で、家具を買いに来た。


 実演販売をやっている。


「御覧ください。ここに手を当てるだけで、ほら。ここのメーターがグググッっと、溜まっていくのが分かりますでしょうか?」


「こうやって魔力を補充することで、従来の魔石型とは違い、魔石を取り替える手間が省けるのです」


 それを見ていた、金持ちそうな若い婦人が言った。

「これ、一回の補充で何時間動くのかしら」


「一回の充電で、満タンですと、1週間はもちます」


「満タンにするまでにかかる時間は?」

 婦人の連れの、ダンディなおじさんが言った。


「魔力量によって、個人差はありますが、大体、30分ぐらいでしょうか」


「30分か。結構長いな」


「それに一週間しか持たないのもねえ。魔石型なら一ヶ月は持つわ」


「悪いけど、今回は遠慮しとくよ」


 そう言って、ダンディなおじさんたちは帰っていく。


 先ほども他の客に逃げられていたので、異世界ではこの魔力型はまだあまり受け入れられてないのだろう。


 肩を落とす店員にぼくは話しかけた。


「それ、いくらですか?」


「おお!買ってくれるのですか?これはですね。今だけなんと大特価。6万円ポッキリで提供しております」

 魔石型の冷蔵庫の相場は、4万円ほど。それに1000円の魔石を1ヶ月おきに補充することを考えると、お得じゃないか。


 大体2年も使えば、もとが取れる。


「それ、バッテリーが劣化したりはしませんか?」


「痛いところついてきますね...では、5万5千円でどうでしょう?」

 別に値切っているわけではないのだが...ラッキー。


「で、実際どのくらいでバッテリーが劣化するんでしょう?」


「実際ですか...そうですね。1年使うと80%ぐらいには、落ち込むこともあるかと...」


「80%かあ...」


「...では!5万2千円でどうでしょう!」


「買います。そこまで言っていただけるのであれば、買わせてもらいましょう!」


 ということで、ほとんど魔石型と変わらぬ値段で買うことが出来た。

 ラッキー!


 ついでなので、オール電化ならぬ、オール魔力型で揃えることにする。


 ぼくは魔力型の扇風機や、魔力型の洗濯機を、買うのだった。


 これで手持ちのお金はすっからかんである。



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