第20話 気配察知でアタック!
訓練を終えた後、ぼくはひとり、街の本屋に来ていた。
気配察知に関する本が、ないかと思ってのことである。
昨今のダンジョンアタッカー需要の増加と、製本技術の発達により、ダンジョンアタッカー関連の本はたくさん出ている。
ならきっと気配察知の本もあるはずである。
そして見つけた、気配察知の本。
割と上級者向けの本だからか、2冊しかなかったが、ぼくはそれを購入して、ホテルに戻った。
ーーー
翌日。
ホテルのラウンジにて、レックスとマリーとその本の内容について話す。
内容は気配察知の方法についてで、やはり思った通り、魔力が関係してそうだった。
「なるほど。それなら私の得意分野よ」
魔力が関係していると聞いたマリーはそう意気込む。
本によると、魔力で良い感じに、魔力を感じるらしい。
そもそも魔力というのは何か。
鑑定学やトラップ学、あと魔法学でも感じたことはあるが...
ーーー
結局その日は1日、気配察知の練習に費やすこととなった。
そしてマリーが、ついに気配察知に、成功した。
「どうやってやったの?」
ぼくらは尋ねた。
「なんか、こう、良い感じによ」
しかし要領を得ない。
やはり感覚的だから、説明は難しいのである。
とりあえずここでずっと訓練していても始まらないので、
マリーも気配を感じられるようになったことだし、ぼくらは翌日ダンジョンに向かうことにした。
ーーー
初日と同じく、4階層まで駆け抜けた。
3階層のハチは、いつ通っても心臓に悪い。
そしてここからが本番。4階層である。
マリーに気配を感じてもらって、クマを避けながら、時には先制攻撃しながら動く。
「そう。そっちの方向。3歩ぐらい歩いたら思いっきりハンマーを振って」
そしてぼくがハンマーを振る。
そんな感じである。
何だかスイカ割りをしているような気分になった。
ーーー
そのまま順調に歩いていると、レックスがおもむろに言った。
「次、右前に一匹」
「そう。右前に一匹...って!?」
マリーが驚く。
レックスが得意げに言った。
「おれも気配、分かるようになってきたぜ。まだ何となくだけどな」
「おお!すごいじゃん!」
ぼくは言った。
ぼくはいまだ全然わからない。
気配ってなんだろうか。
...ともかく、レックスも気配察知できるようになって、万全の状態で5階層を迎えた。
ーーーーーー
5階層はボス戦である。
ボスとして、上級グマがいて、しかも4階層の暗闇は継続される。
「すごい魔力を感じるわ...」
マリーが言った。
ぼくらは満を持して、5階層に足を踏み入れた。
「...襲ってこないな」
5階層に足を踏み入れて、その瞬間の速攻を覚悟していたが、そうではないようだった。
ぼくらはゆっくり上級グマの方に近づいていく。
「いい?あと5歩近づいたら、先制の魔法を放つわ」
「了解」
ゆっくりと近づいていく。
3歩...4歩...
「左!」
と、そこでマリーが叫んだ。
ぼくは左に、思い切りハンマーを振り下ろす。
硬い地面を打った感覚が戻ってきて、ハンマーが跳ね返される。
外した...!
「右よ!」
マリーがまた叫ぶ。
ぼくはまだ、ハンマーを振れる体勢にない。
ぼくにクマの爪が襲いかかる。
その寸前で、レックスがそれを逸らしてくれた。
ぼくはすぐさま体勢を立て直す。
「どこ行った?」
ぼくはレックス達に尋ねる。
レックスは右前の方を指差す。
「今はそっちの方にいる」
「分かった」
ぼくにはやはりクマは見えない。
...しばし、クマとにらみ合う。
「来た!」
マリーが言う。
今度はマリーの方に、クマは襲いかかったようだ。
マリーはそれに応戦して、全方位に広がるように魔法を放つ。
しかし、クマは止まらない。
クマが爪を振り上げ、その時、クマの頭にハンマーがぶち当たった。
ぼくが投げたのだった。
クマが怯んだ隙に、レックスがマリーの方にたどり着き、マリーと共に距離を取った。
ぼくが気配を感じることができれば...
ぼくは石を拾って、クマに投げてみた。
しかし、石は当たった瞬間砕け、決定打にはならない。
どう倒す...
その時、マリーが言った。
「私に考えがあるわ」
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