第19話 工場解体⁉︎
遠征2日目。
2日目は学校側の用意した、ハチミツ工場と熊肉の解体の見学である。
クラスメイトの中には、そんなこといいからダンジョンに行かせてくれよ、という声もあったが、ぼくは密かに楽しみにしていた。
朝食はダンジョンで採れたハチミツを塗った食パンを食べ、集合場所に集合する。
この街付近に来ているスクールの生徒が皆集まるのだから、結構な人数だ。
「よう、レックス。お前、どこのダンジョンだっけ?」
「おれたちはハニーベアダンジョン」
「うわ。難関だな。どこまで行った?」
「4階層の入り口まで行った」
「はや!俺達まだ3階層入ったとこだぜ」
「3階まではなかったようなものだったから。なぁ」
「うん。4階からが本番って感じ。かなり苦戦しそうだよ」
「そうなのか。俺達はなぁ..,」
そうやって話に花を咲かせていると、先生が「静かに」と言う。
全員集まったのだ。
ーーー
ハチミツ工場は、蜂の巣をイメージして、外見が六角形という、すごい形だった。
社員たちはさながら、ハチミツをせっせと採ってくるミツバチである。
ハチミツは温度管理が大事らしい。
低温だと結晶化してしまうし、逆に高温すぎると品質が劣化してしまうのだ。
他にも、ハチミツをろ過し、容器に充填する様子などを見た。
ーーー
工場の生産ラインを見学した後は、ショールームでハチミツの試食をさせてもらえた。
「職員さんは食パンには何を塗る派ですか?」
誰かが聞いた。
「バターです」
「ハチミツは?」
「こう毎日見てると飽きてしまって。でも週に一度くらいは塗りますよ。それに、食パンには塗りませんが、料理に使ったりします」
「ハチミツはお肉を柔らかくしてくれますし、カレーの隠し味に使ったり、タレに少し混ぜたり...」
さらにハチミツは健康にも良いらしい。糖にビタミンにミネラル、様々な栄養成分がバランスよく含まれていて、腸内環境を整えてくれるのだとか。
スキンケアにも使えるらしい。
ーーー
そうして、午前は終わり、午後からは熊肉の解体である。
熊肉の解体はグロかった。ぼくはこういうの苦手ではないが、得意でもない。
狩ってすぐ血抜きするのが、美味しい熊肉の秘訣だそうで、ダンジョンアタッカーのぼくたちにも、気をつけてほしいと言っていた。
ーーー
工場と熊肉の解体見学が終われば、後は自由時間である。
ぼくたちは暗闇攻略のための話を、先輩ダンジョンアタッカーに聞きに来ていた。
「え?あそこって音も遮断されたっけ?」
先輩ダンジョンアタッカーの一人が、仲間のダンジョンアタッカーに聞く。
「さあ。あんまり気にしたことなかったなあ」
昨日の話をしたところ、先輩方はこんな調子である。
さらに話を聞いていくと、彼らが音を気にしたことがなかったのは、彼らがそういう性格なのもあるが、音が聞こえなくても問題なく、気配を感じることができたかららしいことがわかった。
ちなみに昨日、ダンジョン入口で聞いて、前々から音が聞こえないのは確認済み。パワーアップしたわけではない。
つまり、ぼくたちも気配を感じることができるようになる必要があるということである。
そこで、どうやって気配を感じるのか聞いてみた。
「どうやってって言われてもなぁ」
「感覚的なものだよね。第六感というか、勘というか...」
何とも要領の得ない。
気配を感じるというのは感覚的すぎて、説明が難しいらしい。
ただ、訓練方法は教えてもらった。
といっても単純なものだが
とにかく目をつぶって、耳栓をして、それで気配を感じようとする。
それだけである。
訓練するしかないらしい。
それをやってる内に、彼らは自然と気配察知ができるようになったらしい。
少なくとも、彼らはそれしかやり方を知らないのだ。
とりあえず、やってみることにした。
ーーー
目をつぶって、耳栓をすると、何も感じない。
その状態でどこかにいる先輩に木刀を当てる訓練である。
全く何も感じない。
というか、気配を感じるってどういうことだろうか。
目を瞑って、音も聞こえない状態というのは、残っているのは触覚と味覚と嗅覚...それぐらいである。
魔力が関係しているのだろうか。
そんなことを考えていると、トン、と軽く頭を叩かれた。
いつの間にか近づいてきていたのだ。
全く分からなかった。
そんなこんなで、全く何もわからないまま、その日は訓練を終えた。
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