第16話 新聞の一面

 後日。絶壁は登れたが、ダンジョンマスターが見つからない。


 さらにモンスターも全然復活しない。


 これはおかしいということで、国の調査局が本格的に調査に乗り出した。


「結論から言うと、これはダンジョンじゃありませんね」

 結構やり手の調査員が言った。


「というと?」

 ダンジョンを管理する団体の代表者、カインが聞いた。


「これを見てください」

 そう言って、調査員はドリルを壁に当てる。

 ガリガリガリと壁が削れた。


「ダンジョンの壁は、こんな風に崩れたりはしません」


「ならここは何だって言うんですか?」


「さあ。何とも。ダンジョンでないことは確かです」


 そこへ、ダンジョンの奥から一人の若い調査員が走ってきた。

「大変です!」


「ダンジョンの奥から、魔物寄せポーションの成分が検出されました!」


「魔物寄せポーション?」

 カインがそれはなんだろう?と声を上げる。


「モンスターを集めるポーションです。それもかなり強い...。現在は使用はおろか、所持も禁じられています」


 カインが息を呑む。

「しかし何の目的でそんなものを...」


「なにかの実験か、事故か...。とにかく私は一度カレイユに戻ります。すぐに報告しなければなりません」


 ーーーーーー

 その翌日。「謎の人造ダンジョン!?目的は一体?」という記事が新聞の一面を飾り、ダンジョンスクールでもその話題で持ちきりとなった。


「あのダンジョン。目的は何だと思う?」


「おれは実験だと思うな。国が人工的にダンジョンを作る実験をしているのさ」


 クラス中で、そんな会話が繰り広げられた。


 そんな中、一人の生徒が自慢げに言う。

「おれ、あのダンジョンに実際に行ったぜ」


「おお!」


「どうだった?」

 彼の友達が興奮気味に聞く。


「大したことなかったな。ただの洞窟。な、カナタ」

 その言葉に、皆の注目がカナタに集まる。


「カナタも行っていたのか?」


「あ、いや」


「彼は第一発見者だよ。最初にそのダンジョンを発見したのさ」


「へー。おい、どうだったんだよ」


「...ぼくが行ったときは、周囲にブタが溢れていて、すごかったよ。とにかく数が多いんだ」


「へー」


 と、そこで、先生が教室に入ってくる。


「はい。静かに。みんな、席について。今日は来週の遠征合宿についての話をします」

 クラスメイト達が席につく。


 遠征合宿とは、文字通り、ここから遠くの有名ダンジョンに、実地学習に行くことである。


 1週間の大旅行で、実質修学旅行みたいなもの。


 生徒達は楽しみにしていた。


「今日は班と、それぞれの攻略するダンジョンを発表します」


「まず第1班。ベルトーイとモンスとサナカ。あなた達3人は、オーホク地方のノニエダンジョンを攻略してもらいます。 次に第2班。...」


「...そして第8班。カナタとレックスとマリー。ドレッド町のハニーベアダンジョン。 第9班。...」


 結局いつものメンバー。ぼく達はハニーベアダンジョンを攻略するらしい。


 ハニーベアダンジョンというと、確か15層ぐらいの、有名ダンジョンじゃなかっただろうか。

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