第9話 森の中で

やはりそこら辺に適当に穴を掘っても崩れる。


ということで、ぼくは今日も、ダンジョンを作る場所を探すために、森へ来ていた。


この森へは、キシャレ街に引っ越してきてから、ほぼずっと通っているので、もう慣れたものである。


崩れないダンジョンを作るために。


土木学を勉強するか、建築学を勉強するか...


しかしそれを勉強するにしても、時間がかかる。


やはり勉強しながら、硬い岩盤を探すのがやはり一番だろう。


ぼくはそんな事を考えながら、奥へ進む。


木の根を避けるように歩き、落ち葉を踏み、時には鳥の声を聞く。


そんな風に歩いていたら、洞窟を発見した。


ポッカリと、不気味に黒い口を開けている。


もしかしたら先日のクマの住処かもしれない。


そうでなくても、なにか猛獣が住んでいそうだ。


ぼくは警戒しながら、ガサゴソと洞窟に近づく。


洞窟の入口沿いの壁について、こっそりと中を伺った。


ーーーーーー

入り口付近の岩肌には、苔が生えていて、中を伺うと、微かな湿った匂いが漂ってくる。


中は暗く、奥までは見えない。


ぼくはゆっくり、中に入った。


中は砂っぽい。


持ってきた懐中電灯をリュックの中から出して、照らしてみる。


天井は高い。手を伸ばしても届きそうにない。


薄い土色の、ゴツゴツ、デコボコとした天井で、鍾乳石が氷柱のように尖っている。


壁にも触ってみた。丈夫そうな岩だ。


これなら、ダンジョンを掘れるかもしれない。


ーーーーーー


といってもこの洞窟を壊すのは気が引ける。


ぼくは外に出て、近くの、ダンジョンの掘れそうなところを探すのだった。

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