惡の花は優しく

第3話 CATASTROPHIC BRAIN SHOT

バイオリンケースから狙撃銃を取り出すと、銃を構え、スコープを通してホテルのすべての窓が正確に見えるかどうか試すつもりで降りた。

まだ雨は降っていたし、真昼で空は少し暗かったので、今のところ視界は悪くない。しかし、夜に雨が降り続くと......。 本当にちょっと厄介だ。 一刻も早く雨が止むことを祈るしかない。

あとはターゲットが現れるのを待つだけだ。 バックパックから水筒とドライフードを取り出し、地面に座って食べ始めた。

日暮れまでまだ何時間もあるというのに、セブンは30分ごとに首から下げた望遠鏡を手に取り、ホテルの入り口の方を見てターゲットが現れたかどうかを確認した。待っているのはいつだって退屈なもので、少しカールした髪を振り乱してなびかせる退屈さは、彼女にとって確実に限界に近づいていた。

「退屈だわ......」未知の数のドライフードをかじり、水を一口飲んで、彼女はついに不満を漏らした。

退屈なだけでなく、雨はまだ降り続いていた。

「この雨はいつまで続くのだろう。」 不満げに空を見上げながら、雨粒は降り続け、やがて地面に落ちて砕け散り、その一部は崩れた天井からセブンのペントハウスに染み込み、どこからともなく出てきたプラスチックのバケツにぶつかり、パチパチと音を立てて人々を苛立たせた。

「情報によると、夜が明けるまで止むことはないそうです。」。テンはまだ平静を装っていた。結局のところ、彼女は補助的な仕事をしていたのであり、殺人を犯したのは彼女ではなかったのだから、もちろん彼女には何の負担もない。

「望遠鏡を返してくれるかい？」

「それはどうも、ミス・テン様。」セブンは背筋を伸ばし、その口調は噂話に満ちていた。

「ナインは今回どこで働くつもりなの？」「何かお土産を持って帰るのかしら？」「... わからないわ。」

空気中の湿気のせいで、周囲の温度はまた下がり、吸い込みすぎたスポンジのように重く、テンの鼻は少し詰まっていた。

彼は鼻をすすり、セブンにもらったドライフードをもう一口食べ、他にすることもないので、30分おきに天体観測をしようと望遠鏡を手に取った。

いつものように何も起こらなかった。

強い突風が吹き、その風のせいで雨水が大量に体を襲い、シャツはびしょ濡れ、服は濡れ、風は吹き続け、春先の気温は暖かくなく、私は震えていた。

「テン、毛布欲しい？」 セブンは笑みをこらえた。

「また補助スタッフの定期健診をサボる口実を探してるんでしょ？ あなたはまだトップ10にいるんだから、少なくともちゃんとトレーニングしてるじゃない。」

「からかわないでください。」

「笑えないよ。」セブンはそのあと少しくしゃみをした。「毛布か何かは自分用に取っておくよ。」

「頼りない...」

「その通りだ...テン...」

二人は何も言わずに談笑し、こんな退屈な時間が19時過ぎまで続いた。再び望遠鏡を手に取り、ホテル内を見渡すと、そこに映った光景にテンはわずかに身震いした。

「ターゲットが現れたぞ、セブンちゃん。」

「予想より1時間以上早く現れた。」 計画はいつも変化についていけない。

これほど遠くからでも、異能で夜間望遠鏡を使っても、テンは賑やかな通りが人でごった返しているのを確認できた。

平凡な人ごみの中でも、あの退屈なグレー色の彼が、派手で化粧の濃い世の風俗娘たちに続いているのが一目でわかった。

ホテルの受付係は、尊敬の念を込めて背中を曲げて政治家を出迎えたが、その目は畏怖と恐怖に満ちており、表情は非常に硬かった。

スコープを持つセブンは、すべての目で見て、また、少なくとも夜が静かになるまで、今はまだターゲットをやちまえの時間ではないことを知っている..........

突然、この高級ホテルのエレベーターが透明なガラスでできていて、ターゲットがエレベーターを1段ずつ登っていくのがはっきり見え、見失う心配がなかったのは、彼女にとってちょっとした幸運だった。

巨大なガラス張りのエレベーターは40階の最上階でようやく止まり、男性の後ろをついてきた女性たちがおしゃべりしながらエレベーターを降りていった。

多くの上流社会の有名人を暗殺してきた赤川ナナは、次に何が起こるか当然知っていた。間違いなくそれは男女の愛であろう。彼女に言わせれば、それは単なる体液の交換であり、子孫を残すための行為であり、無意味というより少し嫌なものだった。

「そういえば、あなたの腕前は衰えていないわね？」

「2キロ先の10時方向に26個の模様のタイルがある。」

「冗談です…」セブンは舌打ちをした。

言ったのは初めてだ。「Δの状況は？」

「問題なし。」

「よし、楽しもう！」 一行は楽しい時間を過ごそうという気分になり、思ったとおりに行動した。

予想通り、一行が部屋に入ると、彼らは思ったとおりのことをした。一対一ではなく、一対多だった。

「なんていやらしいフェチなんだ。」 部屋の状況を見るために望遠鏡を通してテンはわずか18歳ですが、しかし、滞在するこのビジネスで、基本的にすべてを見ているため、鼻で笑うのを助けることはできません軽蔑と寒さだけでこれらの目を参照してください、完全に人生の全盛期の若い女の子の花ではありません反応を持っている必要があります。

「ええ。」セブンは黙って狙撃銃を置き、あの卑猥で吐き気を催すような光景を見続けたくなく、後ろを向いて水筒を手に取り、一口飲んでからドライフードを食べ続けた。「でも、テンが笑いをこらえきれなくなるなんて、かなり珍しいことだよ」

こうして2時間後、すでに9時10分を回っていたが、彼女は再びスナイパーを手に取った。

部屋にいた風俗娘たちは皆帰り、広いバルコニーには男一人が立っていた。

雨は止んでいなかった。 不運を嘆きながらも、状況をよく分析することを忘れなかった七志は、相手に見つかっていないことを確認すると、スナイパーを構えた。

スコープを覗くと、雨のせいで少しぼやけてはいるが、標的が見えた。

彼女は深呼吸をし、ゆっくりと息を吐いた。気温が低いため、彼女の息は白い霧となり、数秒間だけ空気中にとどまって消えた。

「3時方向、高度2,300m、雨、風速63kt、右に3/4、左に2分修正」。

引き金に人差し指をかけ、最後の狙いを定め、息を止め、ゆるやかに震える体を静めた。

セブンが引き金を引いた。

銃口から弾丸が飛び出し、政治家の眉間を狙った。

「CATASTROPHIC BRAIN SHOT。」

「終わった... 終わったのか？」

「セブンちゃん、何か変だ！」 イレブンは素早く立ち上がった。「Δ反応しない！」

「Δが撃墜された！」テンはセブンを引き寄せ、「セブンちゃん、逃げるわよ！！」

「待って、このSVLK-14Cはナインのお気に入りの銃よ！」

「そんなことどうだっていい！」 弾薬の詰まったリュックを背負い、彼女は40階建てのビルの最上階から飛び降りた。

風が体を吹き抜け、寒かったが、テンの生き残りたいという気持ちを殺すことはできなかった。

「テン、私は高所恐怖症あるなんだ！！」

愛知県で発生した澤乃井水議員暗殺事件の事前調査では、浄の社が......。

リモコンがピタリとニュースを止め、糸川春雪は軽蔑の表情で唇をとがらせた。