一生に一度の買い物

月乃兎姫

それでも家が欲しいのか?

 家とは、一般的には一生に一度の買い物と言われている。それだけ高価な買い物というのは誰しもに言えることだが、それでも時には過ちを犯すものである。

 それというのも、購入する前に念入りに調べ上げ、それこそ数年……下手をすれば、数十年という月日を経てようやく手に入れる人もいるほど。


 住宅メーカーが実際に立てたモデルルームを見学できる、住宅の内見ないけん(一般には内覧ないらん)と呼ばれるものは必然とも言えるだろう。ただの図面上だけでは分からない間取りや使い勝手、色合いや手触り、空間までも含めたものを事前に知れるというのは、購入する側にとっても動機となり得ことだろう。


 しかしながら家とは外壁や庭、あるいは車などを停める駐車場を含めたものである。要するにのことだ。いくら家の中身が良くても、そこのところを考えている人は少ないのではないか?

 特に立地に関して言えば、利便性や土地の価格、他にもスーパーなどの店にばかり重きを置き、近隣に住む住民には大変に疎いもの。これは住宅メーカーですら、関与してくれない。家を購入し住んで初めて気づけることである。


 不愛想な人間、非常識な家族、昨今ではDQNドキュン一家とも呼ばれる隣の家の住民が勝手に駐車場を占領し、その場でバーベキューをするなど、数多のニュースが取り沙汰されている。また、駐車場が隣接する場合も境界線を跨いで駐車するなど、昔から近隣住民同士のトラブルが尽きることが無い。


 一生に一度の買い物であっても、隣にそうした家族や非常識な人間が住めば、後悔の二文字を抱かずにはいられない。仮に賃貸であれば、引っ越すなどもできるが、数千万のローンを組んでしまえば、引っ越しすらも容易ではない。


また、自然災害についても同義である。昨今では、地震にばかり注目されているものの、水害や台風など問題や懸念を挙げればきりがない。


それでも家は欲しいのであろうか? 正解などは存在し得ない。あるのは現実のみであろう。

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