第35話 焦っても状況は変わらない
《執務室》
俺は今、魔王様からある意味死刑宣告を受けたショックで魔王の間を出てすぐで固まってしまった。
(周りに誰もがいなかったのが唯一の救い。)
本当にどうして?
魔王様はオレが嫌いなのか?
百歩譲って外国に行って外交するのは良い。なんちゃってとは言え最高幹部である七天である。
俺が特に何もしなくても七天の肩書きに怖気付いて勝手にこっちに有利な外交ができるのだ。
※七天の武勇は広く知られていて、敵対など絶対にしないように各国は細心の注意を払っている。
七天は単騎で小国なら簡単に落とせるほどの実力者たちである。(アスタは除く)
「よりによって聖国スピカとか…
一番だめなところだろ。」
聖国スピカは最近戦争を仕掛けてきた隣国で、人間の中で主流の魔族は悪だと言うフローリア教の総本山である。
魔族が行ってはいけない国間違いなくNo.1だろう。普通に殺されると思う。
しかもだ、あのテロリストたちが言うには俺、人間を大量虐殺した大罪人みたいに言われてるみたいじゃないか。
多分、それしたの俺じゃない。
(主にルージュとレイン)
本当にどうしよう…
魔王様は聖国側に連絡してるとは言ってたけど…
歓迎されることは絶対ないだろうし、なんか絶対に仕掛けられるだろ。
唯一の救いはレインとダーラが一緒に来てくれることだ。流石の聖国でも七天に匹敵する戦力なとそうそうないだろう。
七天級の実力者が仕掛けてきたら新たな大戦争勃発だ。
聖国は結構疲弊しているだろうから、そこまで過激なことはしないと思いたい。
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《ある国の王の間》
普段は煌びやかな雰囲気が漂う王の間に影が差し込んでいた。
「どうする、このままだと魔大国カストルの使者が来てしまう。」
玉座に座る王は焦りを隠せない様子で周りに意見を求める。
「残念ながら戦争では負けてしまった上にテロを起こそうとしていたのがバレたとなると…」
王の近くに居た宰相も苦渋の顔をしていた。
「いったいどれほどの要求がされるのか…
少しの領土くらいだとまだ良いが、国宝などを求められたら…」
財務大臣は相手側の要求を考えて青ざめている。
「我らは魔族どもに屈するわけにはいかない。
来た使者を殺して再び戦争を仕掛けるべきだ。」
軍務大臣は魔族に強い憎しみを抱いているのか魔族を国に入れるのに断固拒否の姿勢を崩さない。
「使者を簡単に殺せるとでも?
来る使者はあの七天だぞ。」
宰相が軍務大臣に言う。
流石の軍務大臣も七天の名には少し躊躇う。
ずっと話し合っているが解決策が見つからないでいると。
ガチャ、
いきなりドアが開く。
そこにはフローリア教の教皇がいた。
「お困りのようですね。
我らにいい案があります。」
教皇は自身満々に言う。
「その案とは?」
王は救いを得たとばかりに聞く。
「勇者召喚の儀式を行いましょう。」
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