第19話 海水浴(ハード版)

 カリュブディスはこちらの動きを見ているのか船と向かい合って止まっている。


 カリュブディスの周辺にはカリュブディスの眷属であるエーギルと呼ばれる魔物が飛んでいる。


 この魔物が海王種の中でも特に危険視られているのはエーギルの存在だ。カリュブディス単体でも手に負えないのに無数のエーギルも同時に相手をしないといけないのだ。


 エーギル自体はそこまで強いわけではないが、空を飛ぶことから飛行能力を持たないと倒すことが難しい。  


 しかもカリュブディスが生きている限り、無限に湧いてくるのだ。 


 マジで笑えない。


 目の前の空には所狭しと敷き詰められたエーギルが見える。


 「僕は空を飛んでいる魔物たちを相手するからカリュブディスは任せたよ。」


 シーフはいきよいよく空に飛んで行った。


 まさかの丸投げですか‼️


 いや分かるよ、ここで空を飛べるのはシーフしかいないからエーギルを相手するのは分かる。


 だからと言って俺だけてカリュブディスをどうにかするなんて…


 「無理だろ(何かを悟った顔)」


 シーフがエーギルたちに攻撃を始めたのが引き金になったのか、カリュブディスたちは船に突っ込んで来た。


 ドガァン‼️


 カリュブディスに体当たりをされて船は大きく揺れる。


 「船は大丈夫なのか‼︎」


 「アスタ様、どうにかカリュブディスを船から離してください。

このままだと船がもちません。」


 どないせっちゃうねん。


 これは切り札の村正先生にお願いするしかない。腰につけていた村正を鞘から抜こうとする。


 「空に穴が空いたぞ‼︎」 


 船の乗員たちが空を見て大声を上げるのでみんなが見ている方を見る。


 するとすごい勢いで赤いドラゴンが飛んで来て船に体当たりをしていたカリュブディスを吹き飛ばした。


 「ルージュとレインが来てくれたのか…」


 やったぞ、2人が来てくれれば何とかなりそうだ。(安堵した顔)


 少し安心していると、カリュブディスが海に叩きつけられた衝撃で船が揺れる。


 今俺は安心して気が抜けたからさっきまで必死に掴んでいた柱から手を離していた。


 体が船から放り出される。


 「これは死んだか…(青い顔)」


 死を感じているからか時間がゆっくりと感じる。まだ休暇の半分も過ごしてないのに…


 戦いによって荒れた海に飲まれていった。

        •

        •

        •

        •

《シーフ視点》


 やばい全然エーギルたちの数が減らない。早く全部倒してアスタの加勢をしないといけないのに。


 シーフは焦りながらも魔法で風を発生させて周りのエーギルたちを切り刻む。


 次から次へとエーギルが湧いている。カリュブディスをアスタと二人で倒す方がいいのではと思うが、エーギルの相手をしながらだと厳しいだろう。


 僕の仕事はアスタとカリュブディスの戦いにエーギルが邪魔をしないようにすることだ。


 魔王様から頂いたあの使い手を殺す魔剣と恐れられた村正を使いこなすくらいだ。


 アスタならカリュブディスを1人でも倒すことができるだろう。


 ニーナに聞いたら剣姫と言われる彼女でも村正は使いこなせないと言っていた。興味本意でアスタを連れてきた時に触ってみたが直接は触っていられなくて魔法で浮かした持ってきたくらいだ。


 ルージュとレインも来たみたいだしカリュブディスは任せてもよさそうだ。

  

 



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る