第18話 現れた怪物

 いきなり船が大きく揺れる。


 「一体どうしたんだ?」

  

 シーフは急いで周りを確認する。しかし、何も見つからない。


 「総員、カリュブディスが近くにいるかもしれない。探せ‼︎」


 船の乗員はみんな慌てながら周りを探す。


 「やばい、この船大丈夫かな…」


 マジで家に帰りたい。何かあったら村正先生に頼むしかない。


 シーフが村正を持ってきてくれたのが唯一の救いだ。カリュブディスくらい村正先生なら切り刻んでくれるだろう。


 してくれるといいなぁ…(青い顔)


 「何か船の下だけ何か黒くね?」


 現実逃避で海を見たら船の下だけ特に周りと比べて黒い。


 これってまさか…


 「船の下にいるんじゃ…」


 そう思った瞬間、船がさっきよりも強くて揺れた。船から振り落とされないように必死で掴まる。


 「カリュブディスは船の下だ‼︎

飛行装置を稼働させるんだ。

このままだと船が横転するぞ‼️」


 船が空に飛ぶ。この船は軍の最新式であり、飛行することができる。


 しかしまだ実験段階であり、エネルギーを大量に消費するため頻繁には使えない秘密兵器である。


 「海に降りるぞ、衝撃に備えろ‼️」


 ドガァーン…


 さっきの場所から少し距離をとってエネルギーを温存させるため海に降りる。


 さっきまでいた場所にはカリュブディスが海から全身を出していた。


 大きなクジラを思わせる体をしているが全身は真っ黒で表面が岩のようにゴツゴツしている。


 「あれが冥海王カリュブディスだ!

全主砲カリュブディスに目標合わせて

打てー」


 船からの攻撃をカリュブディスはもろともせずにこちらに向けて口を開けてくる。


 「ブレスが来るぞ‼︎

急いで船の障壁を展開してするんだ。」


 半透明なバリアが船を覆ってすぐに視界が黒い光に包まれた。

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 「ギリギリ持ったか…」


 シーフはブレスに耐えられたことに安堵しながら策を考える。


 「障壁は後どれくらい貼れるんだ?」


 死を感じて心臓が暴れるのを抑えながらシーフに聞く。


 「もう一度貼るには時間がかかる。エネルギーを使い過ぎてしまったから溜めないといけない。

流石にあのブレスを連発はできないようだから短期決戦で終わらせるよ。

準備はできてる?」


 シーフはこちらを見てくる。


 「大丈夫だ。(涙目)」


 早くきてくれ、レイン、ルージュ。

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《ルージュとレイン視点》


 「もっとスピード出せないのこの駄龍」


 レインは龍化したルージュの背中に乗っている。レインは焦っているのかルージュを罵倒する。


 「振り落としてやろうか?」 


 ルージュも焦っているのか口調が変わっている。


 二人は言い争いをしながら高速で海の上を飛んでいた。


 「何で全然見つからないの?

この近くにアスタの反応があるのに…」

  

 周りには何も見えない。


 「まさかカリュブディスは空間を歪めさせているんじゃ…」


 レインは顔を真っ青にしながらアスタが見つけられない理由を推測する。


 「そんなのどうやって見つけるのじゃ。」


 ルージュは焦りながら言う。


 レインは必死に考えながらいう。


 「私が無理やりカリュブディスの空間に割り込むわ。

空間に入れたら私は力の使いすぎてあまり戦えないからルージュ頼んだわよ。」


 レインはそう言い、魔力を全開放する。

 

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