第14話 旅行に行きたい

 書類仕事が終わり、気絶してからやっと目が覚めた。気づいたら自分の部屋のベットにいてびっくりした。


 遠征から帰ってきたレインが連れてきてくれたらしい。俺は丸まんま2日間寝てたらしく、その間彼女は俺の世話をしてくれたらしい。


 いつもレインにおんぶに抱っこで本当に頭が上がらない。七天の座に興味ないかな。いつでもあげる準備はできてるんだけど。


 部屋のドアが開く。


 「軽い食事を作ってきたわよ。

とりあえず食べて栄養を摂りなさい。」


 彼女は手作りのお粥を持ってきた。


 「ありがとう。本当に助かる。」


 「これくらい私たちの関係だと当然よ。

さぁ、口を開けて食べさせてあげるわ。」


 彼女はお粥を掬ったスプーンを口に近づけてくる。


 「自分で食べ…」


 彼女は有無を言わさな声で言う。


 「早く開けて」


 「はい。」


 万が一、レインが機嫌を損ねでもしたら俺は簡単に殺されてしまうだろう。拒否権はなかった。


 なぜか妙にレインは機嫌が良さそうだった。

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 「そういえば、魔王様が最近働きすぎだから二週間ほど休暇をくれるそうよ。」


 レインは衝撃の発言をする。


 「それ、本当?」


 休暇なんて言葉、俺には信じられない。なんだかんだ仕事をさせられるのではと疑う。


 「悩みの種だった南方も人間たちは今回大打撃をもらって当分は静かだろうし、他は元々安定してたから大きな仕事がないかららしいわよ。」


 休暇の信憑性が増してきた。こんな長期間の休暇なんてほとんどないぞ。せっかくなら普段できないことがしたいな。


 「せっかくなら海でも見に行くか。

レインも一緒に行こう。

俺の護衛の名目で行けば周りも文句言わないだろうし。」


 俺は学んだんだ、レインがいないと安心して外なんて歩けない。もう散々だ、命の危険に晒されるのは。


 「いいわよ、行くのに時間がかかるだろうしすぐに出発しましょう。」


 彼女も海を見るのが楽しみなのか、早く行きたそうにしている。


 「せっかくなら風情のある馬車にでも乗って優雅に行くとするか。」


 ウキウキですぐに行く準備をしようとする。ついさっきまで倒れてたことなんて休暇の嬉しさですっかり治ってしまった。誰も俺を止められない…


 「話は聞かせてもらったのじゃ。

私が背中に乗せて連れてってやろう。」


 いきなりルージュが出てきた。


 「アスタと私が2人っきりで行くのよ、チビはすっこんでなさい。」


 レインがルージュにくってかかる。


 「雑魚は黙って静かにしてるのじゃ」


 ルージュとレインが睨み合う。今にも戦いに発展しそうな雰囲気がある。


 レインは七天ではないが実力は間違いなく七天級である。そしてルージュは言わずもがな七天の武闘派筆頭である。


 この2人が戦ったら間違いなく戦いの余波だけで死んでしまう。


 だからと言って止めに入っても俺なんてチリすら残らずに死んでしまう。


 俺は旅行に無事行くことはできるのだろうか。(死んだ目)


 


 

         

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