第12話 焦る村正
「すごい剣技だった。」
ニーナは握手を求めてくる。
渾身のキメ顔を作りながら、
「ニーナこそ、素晴らしい剣筋だった。
反応できなかったよ。」
なんかそれっぽいことを言ってやり過ごす。まさか勝つなんて思ってなかったから混乱していて頭があたらいてない。
「嘘つき、全部反応してたくせに。」
ニーナはジトとした目で見てくる。
ほんとだよ。全く反応できてなかったよ。体が勝手に動いただけだよ。村正のおかげだよ。
マジでこの剣すごいな。呪物だとか散々言ってごめんなさい。こんないい物だとは思わなかった。
これからはしっかりと村正を持ち歩こう。
《村正視点》
やっとだ、封印が解かれた。昔に魔王に封印されてからずっと暇だったがやっとそれが終わった。
前回の持ち主はなかなかの強者でいっぱい色んなものを切ることが出来た。
今回の持ち主はどんなやつか。なんだこいつ、パッとしなくてめちゃめちゃ弱そうだな。
うわー、完全に今回の持ち主はハズレだわ。才能もないし、これから鍛錬しても無駄だろう。
才能があれば体乗っ取るんだけどな。次の持ち主に期待することにしよう。呪いでもかけとけばすぐに今の持ち主は死んで次の持ち主が現れるだろ。
なんかこいつ呪いが効かないんだけど、まぁ弱いからすぐに死ぬか。
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やばい。あの女が持ってるの
第14位 『白鋼』 だ。
あの剣と今戦うのはやばい。俺が万全の状態なら『白鋼』なんて剣に負けるはずはない。
俺の能力は血を吸うことで限界なく強化できることだ。この能力はどんな魔剣よりも強くなることができる。しかし強化はこれまで吸ってきた血の量に比例する。
現在の俺は封印された時に吸ってきた血の力を全て失っている。しかもまだ血を吸えていない。
俺は今、これまでで一番弱体化している。本当に俺が作られたばかりの頃と同じくらいだ。
『白鋼』の能力は特出してすごいと言うわけではない。ただ絶対に折れない不壊の剣である。
剣の耐久性で言ったら魔剣の中でもトップクラスだ。 今、この剣と打ち合いでもしたら簡単に砕かれてしまう。
どうする、持ち主の技量に任せるのは無理だ。相手の女は俺が見てきた中でもトップクラスに強い。
仕方ない、なけなしの力で自分を強化してこいつの体を自分で動かそう。本当に無理してやるから、これが終わったら当分は全く力が使えなくなるだろう。
こいつ弱いくせして、呪いが効かないから体の自由を乗っ取るのがとても大変なんだ。
そもそも、持ち主の体の自由を乗っ取るなんて該当できないんだ。それは武器としての本番を逸脱していて、世界の理として許されていない。
持ち主の体を完全に乗っ取って自分でたくさん斬り殺すのが夢で生まれてからずっと試行錯誤してできた隠し玉だったのに。
一回使ったらすごい時間かけないと再度使えるようにならないんだ。何百年かかるんだろうな…
おられるよりはマシか…
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