第9話 褒美を貰う
《魔王の間》
今、国の重鎮たちが魔王の間に集まっている。今回の戦いで武功を上げたものに報酬が出るのだ。
今、魔王様の前に出ているのはルージュとグラントとレインと俺である。俺だけ場違い感が半端ない。
3人とも強者の風格が滲み出ているのに対して俺はなんの風格も出ていない。なんとか真面目な顔を作ってそれっぽい感じが出るようにする。
多分、武功を讃えられるのは最も戦ったルージュ、軍の指揮をしたグランと敵の援軍を防いだレインで俺は関係ないだろう。
だって俺はただ後ろでルージュの戦いを眺めてただけだもん。なんもしてない。
逆に変に目立っちゃうか?七天の癖してなんもしてないことで。
少し不安だがどうにもならないから時が過ぎるのを待とう…
「七天第一席アスタ=レスターよ。
貴殿は先の戦において敵の策を見事打ち破り、勝利に最も大きく貢献した。
その功績を讃えて国宝である魔剣村正を下賜する。」
「ありがたき幸せ」
どう言うこと?
これは現実なのか(白目)
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無事、武功に対する表彰は終わり、勝利を讃えるパーティーが開かれている。俺はレインと端っこで食事を楽しんでいた。
「今回の策もすごかったわね。
私だからあなたの意図がわかったけど他の人はわからないから気をつけなさいよ。」
レインは妙に私だからわかったと強調している。俺はなんの意図もなかったんだ。ただ助けて欲しかっただけで。
どんな意図があると思ったのか不思議である。しかし今回のことでレインがいない時の精神的な負担がやばいことが判明した。
このままだとストレスで倒れてしまう。
「レイン、これからはもっとオレの側にいてくれ。」
俺の命を守ってくれ、頼む。
「あ…あったりまえよ。」
レインは顔を真っ赤にして機嫌が良さそうである。よっぽど今回の武功による褒美が嬉しいのだろうか。
レインは結構な額の金貨を与えられていた。本当は役職が与えられるところだったがそれは無くなった。
私は一生、アスタ様の副官であると断ったのである。
マジで助かった。レインが俺の副官を外されることになったらまずいと思って冷や汗が止まらなかった。
今度、休みでもプレゼントしようか。多分喜んでくれるだろう。
レインにどうやって媚を売ろうか考えていると肩を叩かれる。
後ろを向くと長い銀髪をポニーテールにまとめた無表情系美少女がめっちゃ近くにいた。
「ねえ、村正はどんな感じ?」
無表情だが興奮してくるのが伝わってくる。
彼女は
七天 第七席
《剣姫》 ニーナ=ソードニス
である。
剣の扱いにおいては右に出るものはいない紛れもない世界トップクラスの剣士である。
彼女の剣に斬れないものはないと言われている。
そんな彼女は剣の熱狂的なコレクターであり、魔王様から頂いた魔剣に興味深々なのだろう。
村正はとても有名な魔剣である。名剣として知られているが曰く付きである。
魔王様から頂いたものでなければ今すぐ手放したいくらいやばい代物である。
ニーナに言われるまでこの剣について考えないようにしていた。
だって、使い手を殺す剣なんていらないだろ。
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