第8話 戦争の終結

 「いい運動をしたのじゃー」


 ルージュは人間たちが可哀想に思えるくらいの蹂躙を終えて、とてもスッキリした顔をしている。


 「アスタよ、最高の暇つぶしを提供してくれてありがとうなのじゃ」


 ルージュはいい笑顔だ。


 「それはよかった。」


 俺はさぞ死にそうな顔をしていたことだろう。ルージュがいるから戦場とはいえ死ぬことはないと分かっていても精神的に疲労が半端ない。


 戻ったら有給使おうかな。休まないとやってられない。


 軽く病みそうになっていると…


 「怪我してない?、アスタ。」


 声をかけられた方を見るとレインがいた。結構な距離を移動してきたのにも関わらず汗ひとつかいていない。


 俺と七天変わってくれ。


 「あなたに言われたように援軍をしっかり潰してからきたわ。

 これでこの戦いも終わりね。」


 何言ってんだこいつ?援軍?そんなの来てたの?初耳なんだけど。


 俺はただ助けに来て欲しかっただけだけど…


 「おうおう、氷結様はこんなに遅れてどうしたのじゃ?

 もうここの戦いは終わらせたからお前の出番はないのじゃ。

 ザコは早く帰るのじゃ」


 ルージュは喧嘩腰でレインを挑発する。


 「私は彼からの指示に従っていたから遅れたの。

 天下の赤龍様にしては戦闘が長引いてたけど弱くなったんじゃない?」


 二人は今にも人を殺せそうな顔でガン付け合っている。なんで二人はこんなに相性が悪いのか?


 いつも2人が揃うと言い争いしてる気がする。


 俺にこれを仲裁する勇気はないから収まるまで背景に徹しよう。

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 《魔大国カストル南方軍司令室》


 南方軍の司令室から連絡が来て2人の喧嘩は一時収まった。


 今は今回の戦いのことで話があるらしくここまで来た。


 「今回の助力助かった。 

元々いた軍だけでは対処に時間がかかっていただろうし、伏兵に気が付かなかったら少なくない被害を喰らっていたかもしれない。」


 俺の目の前にいる立派な二つの角を持った大柄の鬼は

 

 七天 第五席


 《白鬼》 グラン=オーガ


         である。


 彼はオーガ族の突然変異で普通のオーガは黒い肌のところ白い肌を持っている。オーガ自体恵まれた肉体を持つことで魔族の中でも武闘派である。


 彼はそんなオーガ族の中でトップの戦闘力を持っている。彼の特出すべきところは大軍を動かす高い指揮力であり、個人の力で戦いを解決しがちな七天の中でとても貴重な存在だ。


 そのため、よく大軍で攻めてくる南方の守護を担当しているのだ。


 それととても怖い見た目とは裏腹に七天の中で話の通じる方である。


 「アスタ、今回の策は完璧だった。 

 全てを知っていると言う噂もあながち間違いでもないのではないか?」


 グランは意味がわからないことを言ってくる。


 「たまたまだよ、今回は全てルージュとレインがやってくれたから自分は何もやってないよ。」


 本当になんもなってないよ。ただ流されていただけだよ。なんか俺の作戦だとグラン勘違いしてそうじゃない?


 「謙遜のしすぎた。

 たまたまで敵の隠していた策を全て見破り、敵の切り札であろう転移石を逆手に取り敵主力を殲滅なんてできるわけないだろう。

 本当によく気がついたな。」


 やばい全部たまたま見つけたなんて言える雰囲気じゃない。下手な反応したら俺の実力がバレるかもしれない。


 「まあね…」


 ここはやり過ごそう。


 「今回の功績を魔王様から褒賞が出るらしいから魔王の間に呼ばれてたぞ。」


 終わった、何もかも(真っ白になった)


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