幕間1 『脇役(という名の死神弁慶)』の始まり

『死神弁慶』

 そんな異名をつけられたのは何時からだったろうか。私の記憶が正しければ、中学三年生の頃からのはず。それに最初は『弁慶』だけだったはず。それが次第に頭に『死神』がくっついてきた……はず。


……別に、いじめられている訳ではない。仮にいじめられているとしたら少し矛盾しているあだ名だ。『死神』はどちらかというとネガティブ、近寄ると死んじゃうとかいったように捉えることができる。しかし、『弁慶』ばどうだろう。アニメや漫画とかでは筋肉隆々の体型、顔は厳つく、身長も高いイメージでつくられることが多い人物だ。カッコいいといえばカッコいいが、怖いといえば怖い。……自分で言うのも何だが、多分あだ名はどちらも後者、『弁慶』みたいで『怖い』から来ているのだろう。元が言うには、「吾鷹は肉付きの良い体に男らしい顔立ち、特に目がいいね。オマケに身長189cm。申し分ない程だよ。」……らしいが、私からすると周りの皆さんは「彼はガタイ良すぎで顔も少し大きくつり目で怒っている、オマケに身長はバカでかい。怖すぎる!」……ってことじゃないのかな?

まぁ、直接聞いた訳じゃないのであくまでも私の考察ではあるが、大体は当たっているだろう。


そのあだ名は高校生になった今でも健在。入学式では、身長があるので周りを見渡せば誰もが目線を避け、最初のホームルームでは自己紹介しようものなら誰もが怯え、委員会決めに至っては誰もが一緒になりたくまいと大いにモメ、最終的には『クラス委員長 四日市』の隣に『図書委員 御坊』の図書委員の下に(兼閻魔庁)と小さく書かれていた。(……あれ?これイジメじゃないの?)

とにかく誰もが私をビビり、私が廊下を歩こうものなら端に逃げ、お手洗いをしようとするなら個室に籠られ、授業中に黒板前で問題を解こうものならなるべく顔を見まいと目線を下げられ……、何とも言えない私の高校生活が始まった。


『脇役』の私、結構インパクト与えているんだな……

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