センチメンタルな私
職場体験の場所どうしようかな。
かれこれ2時間ぐらい自室の勉強机でアンケート用紙と睨めっこしている
2日後までに希望する職場を書いて提出しなければいけないけど
まったくといっていいほどアンケート用紙に手が進まない。
どれがいいだろう。
スーパーマーケットはコミュ障な私には荷が重すぎるし。
洋服店とか飲食店、雑貨店とかも同じ理由で除外。
愛想なくてコミュ障でお荷物とか笑えない。
ペラペラと分厚い説明書をめくっていき、職業の特徴を見ていく。
世の中にこんなに仕事があるのかと驚かされる。
知っている仕事もあるけど、説明書の7割はわからない。
さらに驚かされるのは、この説明書には載っていない仕事が社会には存在しているってこと。
もし自分が大学生になれて、就職活動に取り組んだ時に
どうなることやら。
漠然とした不安によって、ズーンと肩が重くなるのを感じる。
ダメだ!ダメだ!前向きに考えよう!
まだ時間もあるし、今危機感をもった事で未来の自分は必ず準備しているはず。
だから大丈夫。
謎の自信で気が滅入るのを振り払いながら、説明書のページを進めていく
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どれくらいの時間がたっただろう。
窓の外はすっかり暗く、街灯の明かりが点々と光を発している。
ぐっと天井に手を伸ばす。
ビキビキと体の節々で音が鳴り時間の経過を実感。
ぼーっと空白のアンケート用紙を見つめながら思考に耽る。
麗奈さんはどこに行くのかなぁ~。
ふと麗奈さんの事が頭に思い浮かぶ。
麗奈さんだったらどこに行っても重宝されると思う。
だって、
そこでハッと我に還る。
おいおい、前半は百歩譲っていいとして、後半は私が麗奈さんを好きなところじゃん。
でもまあ、麗奈さんが重宝されるのは事実。
もし、麗奈さんと同僚として働けたら毎日絶対楽しいだろうな。
毎日、会社に行くことが楽しみだと思う。
そこでまた、ハッとする。
こんなにスペックが高い麗奈さんなら、男性からのアプローチは引く手あまただろう。
そのうち麗奈さんに意中の相手が表れて、オフィスラブを見せられ、
寿退社してしまうのだろうか。
先ほど、一所懸命に気が滅入るのを
がっくりと肩を落としながらも、どこか達観したような心の余裕もあった
そりゃそうだ。
恋愛小説とか物語のように初恋相手と両想いになれる人は少数派だ。
それに好きな人が違う好きな人がいるなんてことも当たり前。
でも、まだ両想いになれる可能性はある。性別さえ一緒なら。
性別の壁は大きいのは自分でもわかる。
いくら思いをぶつけても、いくら好きでも無理なものは無理なのだ。
だから私は覚悟はできている。
初恋なのにここまで現実的に考えている人は少ないと思う。
だから少し自分が誇らしい。
「はな花、お風呂入っちゃって」
「わかった。今行く」
お母さんが階段の下から催促してくる。
私もきりがいいからアンケート用紙と説明書をリュックサックにしまい
下着やらパジャマやらタオルやらをもって自室を後にした。
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